短編夢小説T

□その美貌には勝てない
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「あっ・・・!クッキー作ろうと思ったけど材料切れてる・・・!」





恵梨華はバタバタと買い物に行く準備をしていた。





すると仕事中のアンダーテイカーが、恵梨華の様子を見に来ていた。





「おや?恵梨華、どこかへ出かけるのかい?」





「あ、うん。クッキーの材料がもう無かったよ」





「それじゃあ小生も一緒に行こうかねェ〜?ヒッヒッ」





恵梨華はアンダーテイカーの顔を見ると、不思議そうに首を傾げた。





「あれ?お客さんはいいの?」





「恵梨華と買い物に行く方が、小生にとっては大切なのさ」





「えへへ・・・」





少し照れた様子の恵梨華。





頬を桃色に染めながら、ポリポリと頭をかいていた。





そんな恵梨華を見て、アンダーテイカーは優しく微笑んでいた。





「恵梨華、準備は出来たか〜い?」





店の柩に座って恵梨華の準備が終わるのを待っていたアンダーテイカー。





「うん!大丈夫だよ!」





「ヒッヒッヒッ、それじゃあ行こうか」





アンダーテイカーは恵梨華にスッと手を差し伸べた。





恵梨華はその手をしっかりと握った。





キィィィ―





店の扉が怪しい音を立てる。





二人はそのまま街へと消えていった。





街は賑やかだった。





「お、恵梨華ちゃん、今日も元気だねぇ!」





「あっ、こんにちはー!」





恵梨華は話しかけられるたびに笑顔で対応していた。





アンダーテイカーは少し面白くない様子だった。





しかし恵梨華はアンダーテイカーの気持ちなど知る由も無かった。





「アンディー、久しぶり!」





「久しぶり!またいつものヤツでいいかい?」





「うん!」





恵梨華はここの常連客だった。





アンダーテイカーはクッキー以外食べない為、いつも同じ店で材料を買っている。





「恵梨華、今日も可愛いねぇ〜♪それじゃあコレおまけしてあげるよ」





「えっ、いいの?」





恵梨華は少し驚いた様子で首を傾げた。





「いいよいいよ、その代わり今度・・・」





アンディーが言いかけると、アンダーテイカーは慌てた様子で恵梨華を抱きしめた。





「君、この子は小生のモノだよォ〜?」





「あぁ。アンダーテイカーさんも一緒にいらしたんですね」





棘のある口調。





アンディーはアンダーテイカーに対して敵意剥き出しだった。





「ヒッヒッ、君の目は飾り物か〜い?小生はず〜っと恵梨華の隣に居たよ」





「生憎、僕の目には恵梨華しか映らないんでね」





「あ、あのぉ・・・」





アンダーテイカーの腕の中で顔を真っ赤にし、申し訳無さそうにしている恵梨華。





「ん〜?どうしたんだい?」





アンダーテイカーは抱きしめていた腕を緩め、恵梨華の顔を覗き込んだ。





「アンダーテイカー・・・恥ずかしいよ・・・///」





下を向き、キュッと目を瞑っている恵梨華。





アンダーテイカーはそんな恵梨華の頭を優しく撫でた。





「小生はアンディー君と少し話があるからねェ〜?恵梨華、ちょっと店の前で待ってておくれ?」





「あ・・・うん!早く来てねー♪」





恵梨華はブンブンと手を振りながら、お店を出て行った。





恵梨華を優しい笑顔で見送っていたアンダーテイカー。





「さて・・・」





くるりとアンディーの方を振り向いた。





「いい加減、小生の恵梨華にちょっかいを出すのはやめてくれないかい?」





先程までの優しい笑顔はなく、アンディーを睨みつけるアンダーテイカー。





アンディーはそんなアンダーテイカーに怯む様子もなく果敢に挑んだ。





「恵梨華には僕の方が相応しいと思いますよ」





挑発的にニッと笑うアンディー。





そんなアンディーに、アンダーテイカーは眉をピクリと動かした。
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