短編夢小説T

□入れ替わった二人
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「あぁ・・・どうしたものでしょう・・・」





困ったように顎に手を添えるセバスチャン。





否、その姿はアンダーテイカーだった。





「まるで鏡を見ているようで気味が悪いねェ〜?ヒッヒッ」





怪しい笑みを浮かべるアンダーテイカー、その姿はセバスチャンだった。





ひょんな事から、中身だけが入れ替わってしまったセバスチャンとアンダーテイカー。





「・・・私の姿でその笑顔はやめてもらえますか?」





アンダーテイカーの姿をしたセバスチャンは嫌悪感剥き出しの表情を浮かべた。





「とにかく、事情を坊ちゃんとお嬢様に報告しなくてはいけませんね」





「・・・面倒な事にならないといいけどねェ〜・・」





アンダーテイカーは盛大にため息をついた。





「先に恵梨華に説明しようか。・・・あの子が混乱しなければいいんだけどねェ〜・・」





「この状況で混乱するなという方が無理な話ではないでしょうか・・・」





二人はお互いに顔を合わせると自分の目に映る自分の姿に肩を落とした。





キィィィ―





アンダーテイカーの店の扉が怪しい音を立てて開かれる。





「アンダーテイカー!おかえり!・・・あれ?今日はセバスチャンも一緒なの?」





「ヒッヒッヒッ・・・た〜だいま〜」





いつものように恵梨華に抱きつこうとするアンダーテイカー。





勿論、今は姿がセバスチャンである。





恵梨華は思わず”セバスチャン”を蹴り飛ばした。





「何すんのよセバスチャン!気持ち悪っ!」





恵梨華は”セバスチャン”を軽蔑するような眼差しで見下していた。





愛しい恋人からの拒絶の言葉と冷たい眼差し。





”セバスチャン”は落ち込んだ様子でその場に蹲った。





それを見ていたセバスチャンはアンダーテイカーの姿でニヤリと悪魔笑いを浮かべていた。





セバスチャンはおもむろに前髪をかき上げ、帽子で押さえた。





「気持ち悪いセバスチャンは放っておきましょう。さぁ恵梨華?おいで?」





満面の笑みを浮かべ、セバスチャンは両手を広げた。





恵梨華は顔を真っ赤にしながらセバスチャンの腕の中に納まった。





「恵梨華!?騙されちゃいけないよ!?」





それを見ていたアンダーテイカーが慌てた様子で恵梨華に駆け寄った。





「・・・どうしたの?セバスチャン。今日は何か変だよ?」





いつもと違うセバスチャンに違和感を感じる恵梨華。





「そうですよ?セバスチャン。あなたは早く坊ちゃんの所に戻られてはいかがです?」





”坊ちゃん”という言葉に反応する恵梨華。





「え・・・?何でアンダーテイカーがシエルの事坊ちゃんって呼ぶの・・・?」





恵梨華は思わず目の前の”アンダーテイカー”から一歩離れた。





「はぁ・・・もうバレてしまいましたか。残念です」





”アンダーテイカー”は困ったような表情を浮かべた。





「もしかして・・・二人って入れ替わってるの・・・?」





「うぅ・・・やっと気づいてくれたんだねェ〜?」





”セバスチャン”は恵梨華に勢いよく抱きついた。





「きもちわ・・・あ、コレはアンダーテイカーなのか・・・」





恵梨華は複雑そうな表情だった。





「ふふ・・・ですがお嬢様、あなたはこの姿に弱いはずですよ・・・?」





それは悪魔の囁きだった。





「この長い艶やかな銀色の髪、宝石のように美しい黄緑色の瞳」





”アンダーテイカー”は一歩一歩恵梨華に近づいてくる。





「形のよい柔らかな唇、そして・・・まるで人形のような透き通った肌・・・」





「あっ・・・」





恵梨華は”アンダーテイカー”から目が離せなくなっていた。





妖艶な笑みを浮かべる”アンダーテイカー”。





「ほら・・・恵梨華・・・?”小生”の元へおいで・・・?」





ゴクリ・・・





恵梨華は思わず生唾を飲んだ。





目の前の甘い誘惑に魅せられる。





そして恵梨華が”アンダーテイカー”に近づこうとした。





その時だった。
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