短編夢小説T

□アンダーテイカーのぬいぐるみ
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「それじゃあ・・・小生は仕事に行ってくるからねェ〜?いい子にお留守番してるんだよォ〜?ヒッヒッ」





「うん・・・!行ってらっしゃい!」





ブンブンと元気よく手を振りアンダーテイカーを送り出す恵梨華。





アンダーテイカーはそんな恵梨華を見て、癒されたように微笑みながら仕事へ向かった。





バタンッ・・





店の扉が閉まる。





途端に恵梨華から笑顔が消えていた。





「はぁ・・・寂しいなぁ・・・」





誰もいなくなった店でボソリと呟いた。





「(でも・・・仕事だもんね・・・仕方ないよね・・・)」





恵梨華は俯きながら寂しそうに自分の肩を抱きしめた。





落ち込んだ様子の恵梨華だったが、ある事を思いつき、その顔はパァーッと明るくなった。





「そうだ!シエルにお願いしてみよっと!」





恵梨華はスキップをしながら、ファントムハイヴ邸に電話をかけた。





「・・・・・・あ!もしもし!恵梨華だけど、シエルいる?!」





「おやおや・・・相変わらず恵梨華さんは元気ですね」





電話に出たのはセバスチャンだった。





「あ、セバスチャン!シエルいるかな!?」





「坊ちゃんは今お客様と対談中でございます。・・・どんなご用件でしたか?」





「あ・・・そうなんだ・・・。実はね、アンダーテイカーのぬいぐるみを作って欲しくて・・・」





「・・・葬儀屋さんの・・?それはまたあくしゅ・・・・・独創的ですね」





セバスチャンは電話越しにクスリと笑った。





「等身大のカッコイイぬいぐるみと、抱きやすい可愛いぬいぐるみが欲しいの・・!」





「・・・そうですね・・・私の手作りでよければ今からお届けしましょうか?」





「ほんと・・・!?」





「えぇ。坊ちゃんも恵梨華さんの為ならそちらに行く事を許可して頂けると思いますし」





「やったぁ!セバスチャンありがとぉ!大好きー!」





恵梨華は上機嫌で電話を切った。





そして鼻歌を歌いながら店内へと戻った。





「あ、恵梨華さん、お久しぶりです」





店に戻るとセバスチャンがいた。





「へ?!え!?早!!」





恵梨華はそのあまりの早さに驚いていた。





「ふふ・・・坊ちゃんの許可を頂いたので、早速お届けに参りましたよ」





その言葉を聞くと、恵梨華の瞳がキラキラと輝いた。





「ありがとぉ!・・・そ、それで、どこにあるのー?」





「こちらの柩を開けてみてください」





恵梨華は言われるがまま、セバスチャンが指差す柩の蓋を開けた。





その中には本物そっくりの人形と可愛いもふもふのぬいぐるみが入っていた。





「っ・・・・・!」





あまりにも精巧に作られているアンダーテイカーの人形。





恵梨華の頬が赤く染まった。





「おやおや・・・人形相手に何赤くなっているのですか?」





セバスチャンは面白そうに笑っていた。





「こ、こんなにリアルだと・・・ね」





恵梨華はぬいぐるみを抱きしめながら人形を見つめていた。





「あぁ・・・勿論神父服の中身までは精巧に作っておりませんからね」





「な、中身って・・・!」





「ふふ・・・私は葬儀屋さんの裸を見た事がありませんので・・・」





セバスチャンは恵梨華を見ながらニヤニヤ笑っていた。





「ちょ!ちょ!ちょっと!私だって知らないんだからね!」





恵梨華は慌てたようにセバスチャンから顔を背けた。





しかし耳まで真っ赤になっていた為、セバスチャン口角を上げた。





そして後ろから恵梨華をそっと抱きしめた。





「その反応・・・まさかとは思いましたが、もうそこまでいかれてしまったのですか・・・?」





「い、いや・・・ちが・・・」





恵梨華は小さな声で言った。





セバスチャンは恵梨華の耳元にそっと唇を近づけた。





「死神や悪魔をここまで狂わせてしまうなんて・・・悪いお嬢様ですね・・・」





低く、そして甘く囁いた。
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