短編夢小説T

□生アンダーテイカー
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今日は待ちに待った恵梨華の誕生日。





恵梨華は期待を胸に、急いで自宅へと向かっていた。





「るんるん♪アンダーテイカーの出番どれくらいあるかなぁ?」





誕生日プレゼントに黒執事のOVAを買って貰う約束をしていた。





ニヤニヤしながら走る恵梨華。





これではただの変人である。





あと少しで家に着く、そんな時だった。





キキーッ!





静かな街に鳴り響く車のブレーキ音。





「え・・・?」





トラックが勢いよく恵梨華の方へと向かってきていた。





「きゃああああっ!!」





ガシャーーン!





恵梨華はそのまま意識を失った。




























目が覚めると体が浮いている事に気づく。





「え・・・?ここは・・・?」





”ヒ〜ッヒッヒッヒッ”





どこから共なく聞こえてくる聞き覚えのある笑い声。





恵梨華は辺りをキョロキョロと見回して声の主を探した。





しかしどこにも見当たらない。





”上だよ、上”





恵梨華は言われるがまま、上を向いた。





すると信じられない事に、そこにはアンダーテイカーの姿があった。





「え・・・?アンダーテイカー・・・?」





「ヒッヒッヒッ・・・な〜にをそんなに驚いているんだ〜い?」





目の前の人物が信じられないのか、恵梨華はごしごしと目を擦った。





しかしそのアンダーテイカーが消える事はなかった。





「ここは生と死の狭間、君は今、病院のベットで生死を彷徨っているんだよォ〜?」





「そ、そうなんだ・・・で、でも何でアンダーテイカーが?」





「小生は死神だよぉ?」





アンダーテイカーは不思議そうに人差し指を唇に当てながら首を傾げた。





「そ、葬儀屋をしてるんじゃ・・・?」





「ヒッヒッ・・・あれは漫画の話だろう?」





ますます頭が混乱してくる恵梨華。





「黒執事の原作者はねェ・・・一度死にかけているのさ」





アンダーテイカーは混乱している恵梨華に説明をしだした。





「でも彼女には素晴らしい才能があった・・・だからリストから外れたのさ」





「じゃ、じゃあ、その時の体験を漫画にしたって事・・・?」





「そういう事さ」





恵梨華は理解したのか、突然ニヤニヤとニヤつき始めた。





「という事は・・・!生アンダーテイカーじゃん!」





急にテンションが上がる恵梨華。





おもむろにアンダーテイカーに抱きついていた。





「と、突然どうしたんだい!?」





慌てるアンダーテイカーを尻目に、恵梨華はアンダーテイカーの前髪を持ち上げた。





「キャー!やばい!やばいよアンダーテイカー!」





アンダーテイカーの素顔を見て歓喜の声を上げる恵梨華。





そんな恵梨華にアンダーテイカーは困惑した表情を浮かべていた。





「あっ・・・ご、ごめん・・・つい舞い上がっちゃって・・・」





困った表情に気づき、恵梨華は慌ててアンダーテイカーを離した。





「いや・・・別に構わないけどねェ〜?・・・ところで」





アンダーテイカーは急に真剣な表情をした。





「最初に言った通り、ここは生と死の狭間。君は死にかけているんだ」





「あ・・・そ、そうだったね」





「恵梨華・・・君はとても綺麗な魂をしているねェ〜?」





「え・・・?そうなの?」





アンダーテイカーは恵梨華の頬にそっと手を添えた。





「ああ、そうさァ・・・だから選ばせてあげるよ」





「ん?何を?」





「生きるか、死ぬか・・・をね」





恵梨華はその言葉を聞くと、頭を抱えて考え込んでしまった。





そして暫く考えると、静かに言った。





「どっちも選ばない・・・って言うのはアリ?」





「へ?」





アンダーテイカーは恵梨華の意外な答えに、思わず変な声を出した。





「だって・・・目の前に大好きなアンダーテイカーがいるんだよ?」





恵梨華はそっとアンダーテイカーの髪に指を絡ませた。
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