短編夢小説T

□死神の鎌に隠された秘密
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「アンダーテイカー!恵梨華、温泉に行きたい!」





突然、目をキラキラと輝かせながらアンダーテイカーを見つめる恵梨華。





その期待に満ちた眼差し。





「おー?唐突だねェ〜?ヒッヒッ」





アンダーテイカーはまるで子犬を撫でるように恵梨華の頭を撫でた。





「シエルがね、仕事でレジャー施設の開拓に行くんだって!」





恵梨華はアンダーテイカーに撫でられ、嬉しそうに目を瞑りながら話した。





「そこには温泉があるみたい!だから恵梨華も行ってみたいの!」





「でも伯爵の邪魔をしちゃいけないからねぇ〜?小生たちは別の所へ行こうか」





アンダーテイカーは立ち上がると、恵梨華の肩をポンッと叩いた。





「さあ、出かける準備をしておいで?」





「行ってくれるの!?わーい!アンダーテイカー大好き!」





恵梨華は思わずアンダーテイカーに抱きついた。





アンダーテイカーのさらさらとした長い髪が恵梨華の頬をくすぐる。





「ヒッヒッヒ・・小生も恵梨華が大好きだよォ〜?」





自然と恵梨華を見つめる目が優しくなる。





怪しい笑みではなく優しい笑顔になっていた。





「ほら・・・早く準備しておいで?」





「うん!」





恵梨華は鼻歌を歌いながら部屋へと向かった。





暫くすると恵梨華が自室から出てくる。





「お待たせ!」





ずるずると巨大な鞄を引きずる恵梨華。





アンダーテイカーはその大きすぎる荷物を見て唖然としていた。





「恵梨華・・・まさかとは思うけど、それを持っていくのかい?」





「え・・?そ、そうだけど・・・」





「てっきり着替えてるのかと思ったけどねぇ・・・この前小生が買ってあげたドレスは着ないのかい?」





「でも恵梨華・・・アンダーテイカーとお揃いがいいんだもん・・」





人差し指を唇に当て、少し俯いて悲しそうにしている恵梨華。





アンダーテイカーは少し残念そうな表情を浮かべた。





しかしすぐに恵梨華の頭を撫でて慰める。





「ヒッヒッヒ・・・まァ恵梨華は何を着ていても可愛いからねェ〜?」





「っ・・・!」





恵梨華の顔が真っ赤に染まった。





ぷすぷすと湯気が出ているようにも見える。





アンダーテイカーはそっと恵梨華の頬に口付けを落とした。





「さて、荷物は小生が持ってあげるから出かけようねぇ」





一体何が入っているのか分からないほど大きい鞄。





アンダーテイカーは恵梨華が持ち上げる事も出来なかった鞄を片手で軽々と持ち上げた。





そんなアンダーテイカーを尊敬の眼差しで見ている恵梨華。





「わぁ!アンダーテイカーって細いのに力持ちなんだねー!」





「ぐふふ・・・死神は、み〜んな力持ちだよォ〜?ほら・・」





アンダーテイカーはデスサイズを取り出すと、ひょいっと床に投げ捨てた。





ズドォオオオン!





ビリビリと耳が痛いほどに響く凄い音。





地震が起きたように地面が揺れている。





投げ捨てられたデスサイズは、床に深々とめり込んでいた。





恵梨華はポカーンと口を開けて呆然としていた。





「ア、アンダーテイカー・・・こんな重い物を片手で振り回してたんだね・・」





「ヒッヒ・・だから心配する必要はないんだよぉ?」





アンダーテイカーは得意げに笑っていた。





そんな自信満々のアンダーテイカーに恵梨華は見惚れてしまう。





頬を染めながら見つめてくる愛しの恋人の視線に気づいたアンダーテイカー。





軽々と恵梨華を肩に乗せると、そのまま店を後にした。





















ひゅるるる・・・・





恵梨華とアンダーテイカーは、冷たい風が吹き荒れる荒野にいた。





アンダーテイカーの艶やかで美しい銀髪が風になびいている。





その美しい光景に見惚れそうになるが、恵梨華はフルフルと首を振って自分を落ち着かせた。





そして率直な疑問をアンダーテイカーに投げかけた。





「アンダーテイカー・・・?温泉どこ・・・?」
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