長編夢小説

□大罪
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恵梨華の左手の傷が消え、代わりに契約の証が浮かび上がる。





黒髪は銀色に変わり、瞳は黄緑色に変わった。





右手には日本刀のようなデスサイズが握られていた。





「イーッヒッヒ・・」





アンダーテイカーは自分の右手を見て満足そうな笑みを浮かべた。





そこには恵梨華と同じ契約の証が刻まれていた。





アンダーテイカーは右手の甲にそっと口付けをした。





「さあ、恵梨華。こっちへおいで」





恵梨華は持っていたデスサイズを鞘に収め、アンダーテイカーの元へ歩み寄る。





「怖かっただろう?痛かっただろう?すまなかったねェ・・」





アンダーテイカーは恵梨華の契約の証をそっと撫でた。





「いや、いいよ。自殺なんて愚かな事をした私への罰なんだから・・・」





目を細め、悲しそうな表情を浮かべた。





「・・とりあえず小生の家に行こうか。疲れただろう?」





「それより仕事をしようよ、私は償う為に死神になったんだから」





どこまでも真面目な恵梨華に少し困ったような表情を浮かべるアンダーテイカー。





「仕方ないねェ・・・それじゃあ、新しいリストを貰いに行こうか」





右手で前髪をかき上げ、左手を恵梨華に差し出した。





恵梨華はアンダーテイカーの素顔を見た途端、その場で固まってしまった。





この世のモノとは思えないほどの美しさ。





頬が赤く染まっていく。





「ヒッヒッヒ・・・どうしたんだい?」





アンダーテイカーの声にハッと我に返る恵梨華。





慌ててその差し出された手を取った。





アンダーテイカーに連れられて暫く歩いていると、死神界についた。





そこは死神達で溢れていた。





「(死神って・・・こんなに沢山いるんだ・・・)」





呆気に取られている恵梨華にアンダーテイカーは声をかけた。





「さあ、死神図書館はこっちだよ」





言われるがまま、死神図書館へと向かった。





とても大きな、まるで宮殿のような建物だった。





中に入ると受付のカウンター。





三人の死神が座って仕事をしていた。





「恵梨華、小生はちょっと手続きをしてくるからねェ?ここでいい子に待ってるんだよ?」





恵梨華をエントランスの椅子に座らせ、アンダーテイカーはどこかへ行ってしまった。





独りぼっちになった事により、急に不安に駆られた。





何人もの死神が恵梨華の姿をチラチラと見ている。





「(私・・・ここに居ちゃだめなのかな・・?)」





そんな事を考えていると、一人の死神が声をかけてきた。





「うっわ〜、超美人じゃん!」





恵梨華が驚いた顔をしていると、





「あ、オレはセシル。いや〜、初めて見る顔だけど新人さん?」





「え・・・ま、まぁそんなとこかな」





「エントランスにすっげー美人がいるって皆が噂しててさ〜、来てよかったよ!」





それから恵梨華はセシルと楽しく雑談していた。





「そうだ!これから暇?どっか飲みに行こうよ!」





笑顔で恵梨華の手を取るセシル。





しかし次の瞬間、その笑顔は凍りついてしまった。





「っ・・・!?」





セシルの視線が恵梨華の左手の印に釘付けになる。





ガクガクと手を震わせ、恐怖に怯えるセシル。





そんなセシルの急変に驚いた恵梨華。





「セシル・・?どうしたの?」





恵梨華の言葉にハッと我に返ったセシルは急に土下座をしてきた。





「・・!?セ、セシル!?」





「で、伝説の死神様の令夫人とは知らなかったもので・・ご無礼お許しください!」





「(え?伝説の死神様?令夫人?)」





未だにガタガタと震えているセシルに恵梨華は優しく声をかけた。





「な、なんだかよくわからないけど、気にしてないよ・・?」





「おぉ・・なんとお優しい・・・で、では自分はこれで失礼致します!」





すると逃げ出すようにセシルはどこかへ行ってしまった。





「(この印を見た途端、セシルの態度がおかしくなったんだよね・・)」





恵梨華は左手に刻まれた契約の証を見つめながら考えていた。
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