長編夢小説

□ダンスパーティ
2ページ/5ページ

恵梨華の手には魂回収リスト。





そして死神の鎌が握られていた。





先程から人間界を飛び回っている。





恵梨華は淡々と作業をこなしていた。





「(あー・・もうこんな時間かー。やだなー、ダンスパーティ出たくないなぁ)」





刻一刻と迫るダンスパーティの時間。





魂回収作業が大好きな恵梨華にとって、時間が過ぎるのが早く感じた。





「(うー・・・もっと魂回収してたいんだけど・・・これが最後の1枚かー)」





恵梨華はがっかりした様子でため息をついていた。





「・・・最後はあの少年かー」





恵梨華はリストの内容を確認すると、少年の近くへと行った。





「あと10秒・・・」





恵梨華のカウントダウンが始まった。





「3・・・2・・・1・・・!」





少年は病気で息を引き取った。





素早く恵梨華のデスサイズが少年の胸元に突き刺さった。





ぼーっとシネマティックレコードの中身を確認する恵梨華。





確認が終わると、恵梨華はそのレコードをデスサイズに収めた。





「完了・・・っと」





ふてくされたような表情でその場を後にした。





そして死神界へと戻っていく。





死神界に行くと、グレルが恵梨華の帰りを今か今かと待っていた。





「アラァ〜?随分遅かったワネ」





「・・・ダンスパーティに出たくなかったからゆっくりやってたのよ」





「・・・そんなにダンスが嫌なの〜?アタシと踊ればきっと楽しい一夜が過ごせるワヨ?」





「パーティだと色んな死神に話しかけられるから嫌なのよ」





少し人見知りが激しい恵梨華。





毎年恵梨華を巡って色んな男たちが恵梨華を口説きに来ている。





そんな事が続き、恵梨華はダンスパーティが嫌いになっていた。





「アタシと踊ってれば声もかけられないと思うけどネ〜☆」





恵梨華の腕をギュッと掴むグレル。





するとグレルがいきなり地面に倒れこんだ。





「・・・抜け駆けはいけませんよ、グレル・サトクリフ」





ウィリアムが後ろからグレルを蹴っていた。





きっと今日は水曜日なのだろう。





「恵梨華、こんなのと踊っては貴方の名誉に関わりますよ」





ウィリアムが眼鏡を直しながら言った。





「ウィル〜!それは聞き捨てならないワ!」





地面に倒れているグレルが顔を上げながら言っていた。





その光景があまりにも面白くて、恵梨華は大爆笑していた。





「ぶっはははっ!」





お腹を押さえ、苦しそうにケラケラと笑っている恵梨華。





そんな恵梨華を見て、グレルとウィリアムの顔も自然と優しくなっていった。





「じゃ、行くとしますかー」





にこりと微笑む恵梨華。





「え!?アンタその格好で行く気!?」





「んー?そうだけどー?」





恵梨華は慌てて駆け寄るグレルに不思議そうに首を傾げていた。





「返り血べっとりでダンスパーティに行くなんて信じられないワ!」





隣で大人しく聞いていたウィリアムが口を開いた。





「・・・こればかりは私もグレル・サトクリフに賛成です。恵梨華、着替えてきた方がいいですよ?」





「ふふっ、これなら話しかけてくる死神もいないから安心なの♪」





恵梨華はふわりと笑うと、そのまま逃げるように会場へと向かってしまった。





「ねぇウィル・・・あの子ならあの格好でも話しかけられると思うわヨネ?」





「・・・そうですね。我々も急ぎますよ、グレル・サトクリフ」





グレルとウィリアムは急いで恵梨華の後を追った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ