長編夢小説

□数百年後の黒執事
2ページ/15ページ

「空間を捻じ曲げて恵梨華を呼んだからねェ・・・体に負担がかかってしまってるかもしれないんだ」





アンダーテイカーは前髪を上げた。





美しすぎるその素顔が恵梨華の顔に近づいてくる。





恵梨華は目のやり場に困り、視線をそらした。





コツン・・・





アンダーテイカーの額が恵梨華の額に宛がわれていた。





「ん〜・・・熱は無いみたいだねェ〜。でも今日はもう休んだ方がいいよ〜?」





しかしアンダーテイカーの言葉は恵梨華には届いていなかった。





高鳴る鼓動。





ドクドクと脈打つ煩いぐらいの鼓動が恵梨華の耳に聞こえている。





「(す、素顔・・・!イケメンすぎるよテイカーさん・・・)」





視線をそらしていても視界に入ってしまうその綺麗な顔。





恵梨華の体温はどんどん上昇していった。





「恵梨華〜?」





アンダーテイカーが恵梨華の頬に手を当てた。





「ヒッヒッヒ・・・おやおや?熱があるみたいだねェ」





アンダーテイカーはニタリと笑っていた。





そのまま恵梨華をお姫様だっこした。





突然ふわりと体が浮き、恵梨華は何事かと目を見開いた。





「さあ・・・お休みの時間だよ、お姫様」





アンダーテイカーはそのまま寝室へと向かった。





大きめのベットがひとつ。





アンダーテイカーはその中央に恵梨華を優しく寝かせた。





「おやすみ、恵梨華」





チュッ・・・





軽いリップ音が部屋に響いた。





アンダーテイカーと恵梨華の唇が重なっている。





「っ・・・!」





恵梨華は耳まで真っ赤にしていた。





慌ててアンダーテイカーに背を向けた。





「ヒッヒ・・恵梨華の唇は極上の味だったよォ〜?」





「ば、ばか・・・!」





恵梨華は照れたように言うと、布団を頭までかぶってしまった。





余程疲れていたのか、恵梨華はそのまま眠りについた。












チュンチュン・・・





小鳥のさえずりが聞こえる。





恵梨華はゆっくりと目を開けた。





ぼやける視界。





恵梨華は眠そうに目をゴシゴシとこすっていた。





すると突然隣から声が聞こえてきた。





「おはよう、恵梨華。よく眠れたかい?」





「うん・・・・・・ってアンダーテイカー!?」





恵梨華の脳が一気に覚醒していく。





「・・・?何をそんなに驚いているんだい?」





「なっ、何で一緒のベットに・・・!?」





恵梨華は訳が分からず、おどおどしていた。





「何でって・・・愛しい恵梨華と一緒に寝るのは当然だろう?」





さも当たり前のように言うアンダーテイカー。





「で、でも私達・・直接会ったのは昨日が初めてだよ!?」





「そんなのは関係ないさ」





ふわりとアンダーテイカーに抱きしめられる。





「ずっと・・・こうしたかったよ・・・」





消えそうな声。





その声は少し震えていた。





恵梨華はアンダーテイカーの気持ちを察し、腕をアンダーテイカーの背中にまわした。





「愛してるよ、アンダーテイカー・・・ずっと一緒にいようね」





恵梨華の心に何かが引っかかった。





”ずっと”・・・?





恵梨華はただの人間。





そしてアンダーテイカーは死神。





永遠を生きる死神に対し、恵梨華の寿命なんて知れている。





恵梨華は複雑な心境だった。





そんな恵梨華の心情を知らないアンダーテイカー。





恵梨華の言葉に安心し、抱きしめる腕に力が入った。





「ああ・・・ずっと小生の傍に居ておくれ・・・」





二人は唇を重ねていた。





それはまるで誓いのキスのようだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ