短編夢小説U

□両手に花
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「あ、あの・・・」





言い合いをする二人に見兼ねた恵梨華が声をかけた。





「そーだ、恵梨華に決めてもらおうか」





「え・・・?」





「ヒッヒ・・・いいねェ〜?君みたいな乱暴な小生を恵梨華が選ぶとは思えないけどね」





「ぐふっ・・・そういう君はどうなんだい?そ〜んな情けない小生を恵梨華が選ぶとは思えないよ」





二人は睨み合い、バチバチと火花を散らした。





「さあ、恵梨華。どっちの小生がいいんだい?」





「えっと・・・」





どちらかを選ぶなんて恵梨華には出来ない。





恵梨華は何か他にいい方法がないかと必死に考えた。





葬儀屋は悩んでる恵梨華の顎を人差し指で持ち上げた。





「悩む必要なんてないだろう?・・ヒッヒ・・・決められないならその身体に聞いてみようか」





獲物を狙う獣のような瞳で恵梨華を見つめる。





色気のある含み笑い。





恵梨華はまるで魔法にかかってしまったかのように葬儀屋から目を離すことが出来なかった。





そんな時、後ろからふわりと抱きしめられた。





温かく、優しい香りに包まれる。





「小生を選んでおくれよ・・・恵梨華・・・」





耳元で低く、優しく囁かれる。





苦しそうに少し震えているその声に、恵梨華は胸が締め付けられた。





「どっちかだなんて・・・私には選べないよ・・・」





「おやおや・・・いけない子だねェ」





葬儀屋は人差し指を唇に当てると、首を傾げながら何かを考えていた。





そしてその口角がニヤリと上げられた。





「二人もいるからいけないんだね」





「え・・・?」





葬儀屋の言葉に、恵梨華を抱きしめていたアンダーテイカーも反応した。





フッと口端が上がっていった。





「面白いねぇ〜?生き残った方が本物というワケだね?ヒッヒッヒッ」





「ぐふっ・・・簡単でいいだろう?さて・・・狩られる方はどちらかな?」





ぴりぴりとした空気が部屋に流れる。





耐え切れなくなった恵梨華は、荒々しく声を上げた。





「やめて・・!」





葬儀屋とアンダーテイカーは驚いたような表情で恵梨華を見た。





「どうしてだ〜い?選べない君の為に簡単にしてあげようと・・・」





「どっちかいなくなっちゃうなんて・・・やだよ・・・!」





葬儀屋の言葉を遮るように恵梨華が言った。





アンダーテイカーはそんな恵梨華を優しい眼差しで見つめていた。





「いいよぉ・・・小生は恵梨華が望むならこのまま二人で愛してあげるよ」





「ヒッヒッヒ・・・面白い、実に面白いよ。恵梨華はもう、一人じゃ満足出来ないんだね」





「なっ・・・!ち、ちがっ・・・///」





恵梨華は恥ずかしさのあまり、俯いてしまった。





耳まで真っ赤になっている恵梨華。





「照れるコトはないさ。ヒッヒ・・・可愛がってあげるよォ〜」





「おや・・・そうなのかい?ぐふっ・・・贅沢な子だねぇ」





「せ、せめて夜まで待とうよ・・・!」





恵梨華の言葉に二人は顔を合わせた。





そして妖艶な笑みを浮かべながら恵梨華の方に視線を合わせた。





「待てない・・・ああ・・・待てないよ・・・!」





「さあ・・・可愛い声で鳴いておくれよ?」





「「ねぇ、恵梨華・・・?」」



-END-
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