頂き物

□伝説と新人U
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これは、死神二人の物語―――。






新人死神の能力向上を図るという死神派遣協会の大イベントを、みごと優勝という形で飾った2人だが、その後はそれぞれの生活に戻っていた。





伝説の死神である彼は既に引退した身。そして、新人の死神である彼女は、厳しい研修を課されている研修生の身。




故に、あのイベント以降、あの2人が会う事はほとんどなかった。





そして今日は、新人達の正式な所属部署が発表される大事な日を迎えていた。






「何だかドキドキするね」




発表会場にぞくぞくと集合する新人たち。勿論、その中には恵梨華の姿もあった。





「…だよね。でも恵梨華の成績なら、きっと協会長つきの特命部で間違いなんじゃない?」


「ま、まさか〜!?協会長つきだなんて…ありえないよ」


「そうかな?だって、みんな噂してるよ」


「ただの噂だよ」








そんな他愛ない話をしながら、今か今かと発表を待っていると、後ろから声が掛けられた。





カツコツカツコツン…ッ…!





「いよいよですね」


「ハ〜イ☆元気してた〜?」





振り返ると、教官を勤めた2人の死神がいた。





「スピアーズ教官!サトクリフ教官!」





協会随一の堅物と呼ばれるウィリアム・T・スピアーズ。そして、協会一の問題児と噂されるグレル・サトクルフ。研修生の教官をこの異色の2人が今回勤めたのは、とある幹部の指示らしい。





恵梨華が駆け寄ると、二人は照れくさそうな笑みを浮かべた。





「その【教官】は止めてもらえませんか?既にあなた達は研修を終えた立派な死神。我々と同等の立場なのですから」


「そうそう、ウィルの厳しい研修を耐えたんだから、もっと胸張ってもイイのヨ?」





そんなグレルの一言に、ウィルの眉がピクリと反応する。




「…私より、どちらかと言うと…貴方のほうが厳しかったのではありませんか?特に、恵梨華に対しては…」




意味深な視線を投げ掛けられ、グレルは肩を竦ませた。




「だって〜あの葬儀屋さんとペアを組んだって聞いてたから、どんな女か試してたの。まあ、気に食わない女だったら、チョットやき入れてやろうかな…な〜んてコトも思ったりしたケド」



「や、やき…ですか」




初めて聞いた事実に、恵梨華は目をパチクリさせる。





「だけど、アンタには呆れたワ」


「は?」


「どんなにいびっても、嫌味を言っても、それを素直に受け取って、ちゃんと返してくるんですもの」


「は、はぁ…」





褒められているのか、けなされているのか、よく分からない言い方だが、取り合えずスルーしておく。




「大丈夫ですか?顔色が優れないようですが」


「なんだか、緊張してしまって…」


「大丈夫です。貴女はオールAAの優秀な死神。もっと自分に自信を持つべきです」


「まあ、アタシのAAAには敵わないケド」


「アナタの場合は、実技だけではありませんか」


「うっ…いいのヨ。オールAAAは現協会長と葬儀屋さんだけだもの」






【葬儀屋】その呼び名に、恵梨華の心臓がトクンと脈打つ。






「とにかく、アンタはドッシリ構えてればイイの☆悪いようには絶対ならないから」


「……え?」


「余計な事は言わなくて結構」





何やら余計な事を言ってしまったようで、グレルはウィルに睨まれる。




「では、我々は仕事があるので、これで失礼…。グレル・サトクルフ、行きますよ?」



「じゃ〜あネ〜☆また会いましょ」




2人は強制的に話を終了させると、踵を返して颯爽と歩いていった。





「…なんだったんだろう?」





先ほどの会話を思い出しながら、恵梨華が首を傾げていると、いよいよ発表の時を迎える。
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