短編夢小説V
□美しすぎる美少年
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「はぁ・・・小さい身体というのは不便だねェ・・」
ずるずるとコートを引きずりながら葬儀屋が姿を現した。
「ブッ!」
その姿はあまりにも可愛らしくて。
恵梨華は思わず吹き出してしまった。
そして鼻血が出ていないか心配になり必死に確認する恵梨華。
そんな恵梨華に、葬儀屋はケタケタと笑っていた。
「相変わらず面白い子だ。ヒヒッ、そんなに幼い小生が好きか〜い?」
―びたーんっ!
葬儀屋が得意げに恵梨華を挑発した瞬間、引きずっていた服の裾を踏んで転んでしまっていた。
「(か、可愛すぎる・・・)」
熱い眼差しで葬儀屋を見つめる恵梨華。
その息は荒く、微かに身体を震わせながら必死に何かに耐えていた。
「はぁ・・・はぁ・・・・テ、テイカー・・・!」
「ヒッヒ・・・いいよぉ〜・・?君が望むなら・・・小生は何でも受け入れてあげるよ・・」
床に寝そべったままニヤリと妖艶に微笑む葬儀屋。
一瞬、そのまま襲ってしまいそうになる恵梨華。
しかしいくら愛しい恋人だからと言って、今は幼い少年。
危ない道に走りそうになる衝動をぐっと堪えた。
「そ、それよりテイカー・・・ご飯にしよっか」
「・・・・ヒヒヒッ、そうだね」
そういうと恵梨華は昨夜作っておいたクッキーをカウンターの上に置いた。
葬儀屋はいつものようにカウンターの椅子に座ろうとするが、小さくなってしまったせいで中々座れない。
「ん〜・・・・・難しいねェ〜・・・・」
懸命に椅子によじ登ろうとする葬儀屋。
恵梨華はその姿を見た途端蹲り、苦しそうに床をバンバン叩いていた。
「(何アレ・・・何アレ・・!可愛すぎるんだけど!!)」
今にも崩れ落ちそうな理性。
恵梨華の苦悩はまだまだ続きそうだった。
-END-