短編夢小説V
□君は小生の着せ替え人形
2ページ/2ページ
「・・・・テイカー・・・・・・・アンダーテイカーってば!」
「い゛っ・・・・!」
突然頭を襲う激痛に、葬儀屋はおもわず頭を押さえて蹲った。
「んもう・・・いつまで寝てる気!?」
目の前には何事もなかったようにいつも通りの恋人が立っている。
「ゆ、夢・・・なのかい・・・?」
葬儀屋は混乱した様子だった。
そんな葬儀屋に呆れた様子の恵梨華。
パッとデスサイズを取り出すと、葬儀屋の頬にそっとあてがった。
そして冷たい笑顔でニッコリと微笑む。
「夢かどうか・・・確かめてみる?」
葬儀屋の頬に痛み、そして生暖かい血がツーッと流れた。
「痛ぅ・・・・」
葬儀屋は痛みに眉を寄せていた。
苦痛に顔を歪めている葬儀屋に、恵梨華は満足そうに微笑んだ。
そしてデスサイズを仕舞うと、頬を伝う葬儀屋の血を唇ですくいとった。
「ふふ・・・おはよう、アンダーテイカー」
「あ・・・ああ・・・・・・・」
漸く先程までの出来事が夢だと気付く葬儀屋。
「(・・・そうだね、愛しい恵梨華にあんなコト出来ないからね・・・)」
自分の中に秘められた恐ろしい欲望に苦笑いする葬儀屋。
「恵梨華・・・」
「ん・・・?」
ふいに色っぽい声で名前を呼ばれ、恵梨華は不思議そうな顔で葬儀屋を見つめた。
「小生は君を傷つけたりしない・・・・約束するよ」
いつになく真剣な表情だった。
その美しい瞳は真っ直ぐと恵梨華を見つめている。
「な、何よ・・・急に・・・///」
カァッと頬が赤く染まっていく。
恵梨華は照れくさそうにフイッと顔を背けた。
すると葬儀屋は恵梨華の耳に唇を寄せる。
「愛しているよ・・・何よりも・・・誰よりも・・・」
-END-