短編夢小説V
□情報料は極上の・・・
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「知ってるだろ?小生の気持ち・・・」
熱い吐息と共に聞こえる甘く低い声。
恵梨華は静かに息を呑んだ。
「で、でも私・・・」
恵梨華を抱きしめる腕に力が入る。
それはまるでその続きの言葉を聞きたくないと主張しているかのよう。
「早く事件を解決したいんだろう?だったら・・・・・さあ、小生に極上の口付けを・・・」
そのままそっと恵梨華を解放する葬儀屋。
解放された恵梨華は戸惑いながらもゆっくりと葬儀屋の方を振り返った。
「と、とっておきの情報なんでしょうね・・・」
視線を合わせるのが恥ずかしいのか、恵梨華は下を向いたままだった。
「ああ、もちろんだよ。いつも小生の情報は間違ってないだろう?」
捜査に行き詰ると恵梨華はたびたび葬儀屋のもとを訪れていた。
そのたびに葬儀屋の情報で事件は解決している。
だからこそ、恵梨華は今日、葬儀屋のもとを訪れたのだ。
「そう・・・だね」
覚悟を決めたのか、恵梨華は葬儀屋の頬にそっと手を当てた。
微かに震えるその手に、葬儀屋は自分の手を重ねた。
「愛しているよ、恵梨華」
「か、勘違いしないでよ・・・・・これは・・・情報を貰う為だから・・・!」
ぐっと背伸びをすると、そのまま荒々しく葬儀屋の唇に自分の唇を押し付けた。
葬儀屋はそのあまりにも乱暴な口付けにクスリと笑った。
「ちょ〜っと乱暴だったけど・・・でも約束は約束だからねェ〜?ぐふふ・・」
予想外の口付けだったが、愛しい恵梨華からの口付けに、葬儀屋は満面の笑みを浮かべた。
「それじゃあ・・・・教えてあげるよ。ヒヒヒッ」
こうして今回の事件は解決へと向かったのであった。
-END-