短編夢小説V

□死神界に伝わる伝統のゲーム
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「ひッ・・・・!」





ビクッとグレルの身体が震え、恵梨華の手を取ろうとした手がピタリと止まる。





「・・・?どうしたの?グレル」





この時グレルの目には、恵梨華の後ろで悪魔と死神の瞳をギラギラ輝かせている二人が映っていた。





「そうですよ、グレルさん。折角ですから恵梨華さんの手を取ったらどうです?」





尖った歯を剥き出しにしてニィっと笑うセバスチャン。





「ヒッヒ・・・そうだよぉ〜?遠慮するコトなんてないさ」





葬儀屋も形のよい唇を不気味に歪ませていた。





二人とも口元が笑っているように見えるが、目が笑っていない。





殺意を帯びた冷たい赤と黄緑が、グレルを鋭く睨みつける。





そのあまりにも恐ろしい光景に、グレルは思わず息を呑んだ。





「あ・・・・・い、いや・・・・一人で立てるわヨ・・・」





少しずつ恵梨華と距離を取りながらフラフラと立ち上がるグレル。





恵梨華は背中の二人の事に気付く事なく、不思議そうに首を傾げるだけだった。





「さて、ゲームの説明をしよう」





葬儀屋はパンッと手を叩くと、棺の上に腰掛け、足を組んだ。





「いいかい?このゲームはまず始めに王様を決めるんだ」





「・・・・王様はどうやって決めるの?」





「いい質問だね、恵梨華君」





葬儀屋がビシッと恵梨華を指差した。





そしてどこからともなく4枚のカードを取り出した。





「ほら・・・このカード、1枚だけ死神が描かれているだろう?」





4枚のカードのうち、1枚には死神が、そして他の3枚には”1”、”2”、”3”と数字が書かれていた。





「この死神を引いたモノが王様になれるってワケさ」





すると少し遠くに居たグレルが、ビクビクしながら震える声で尋ねた。





「お・・・王様になると・・・どうなるの・・・ヨ・・?」





「ヒ〜ッヒッヒッ・・・・」





ニィッと吊りあがっていく口元。





「王様はそのゲームの参加者にな〜んでも命令出来る・・・王様の命令は絶対だからねェ〜?ヒヒッ」





「つまり・・・私が王様になったとして、グレルさんに死ねと命令すれば・・・死ななければならないんですね?」





「残念だけど執事クン、生死に関わる命令は禁じられているんだ。それに・・・名指しは出来ないよ」





「おや・・それは残念ですね。クスッ・・」





チラッとグレルを見るセバスチャン。





グレルはまるで追い詰められた兎のように怯えていた。





「もうルールは分かっただろう?」





「う、うん・・!」





恵梨華は興味津々の様子で少し興奮気味に頷いた。





そんな恵梨華を見て葬儀屋がフッと笑うと、最後に一つだけルールを付け足した。





「ただし、執事くんがカードを引くのは最後だよ」





「おや・・・気付かれてしまいましたか」





当然、悪魔が先にカードを引けば、確実に死神カードはセバスチャンの物となる。





追加ルールに内心苦笑いをするセバスチャンだった。





「さあ・・・王様ゲームを始めようか」



-恵梨華パートEND-

次ページがゲームの本編ですが、奴隷クンの小説になります。
ちなみに、一切手直ししてません。
未完成な物が苦手な方、代筆が苦手な方はここでお戻りください。
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