短編夢小説T

□嫉妬の炎を燃やす葬儀屋さん
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「お嬢様、よろしければコレを・・・」




恵梨華が箱を開けると、中には綺麗な指輪が入っていた。




真っ赤に輝くルビーの指輪。




それはセバスチャンの瞳の色と同じだった。




「わぁ・・・」




恵梨華はキラキラとした指輪を見ると満面の笑みを浮かべた。




「で、でも、本当に貰ってもいいの?」




「えぇ、お嬢様の為に用意致しました」




「ありがとう!セバスチャン!」




恵梨華は嬉しそうに指輪をはめた。




そんな様子を不機嫌そうに見ているシエルとアンダーテイカー。




「セバスチャン・・!いつのまにそんなものを・・・」




「いいじゃないですか、坊ちゃん。貴方も用意しているんでしょう?」




「っ・・・///」




シエルは耳まで真っ赤にしながらセバスチャンを睨むと、ポケットから指輪を取り出した。




「まさかセバスチャンに先を越されるとはな・・・恵梨華、僕からのプレゼントだ」




シエルはそう言うと恵梨華の親指に指輪をはめた。




吸い込まれそうなぐらい深い輝きを放つサファイア。




「シエルとお揃いだねっ♪」




鈍感な恵梨華はシエルの指輪の事を言ったのだろう。




しかしシエルにとっては、自分の瞳の色と同じだと言われたように感じていた。




恵梨華の指に二つの指輪。




それはまるで恵梨華は自分の物だと主張するかのように怪しく光っていた。




すると突然、禍々しい殺気が辺りを包み込んだ。




その殺気は鈍感な恵梨華にすら分かるぐらい酷いものだった。




「ア、アンダーテイカー?」




恵梨華は焦ったように声をかけるがアンダーテイカーの耳には届かない。




「ヒーッヒッヒ・・・二人とも・・今すぐ冥界の門へ送ってあげるよ」




アンダーテイカーの手にはいつのまにかデスサイズが握られていた。




「はぁ・・・」




シエルは呆れたようにため息をついた。




「クスッ・・・嫉妬、ですか?葬儀屋様」




殺気立っているアンダーテイカーに恐れる様子もなく、挑発を続けるセバスチャン。




アンダーテイカーのデスサイズを握る手に力が入った。




その瞬間、恵梨華はアンダーテイカーの胸に飛びついていた。




「アンダーテイカー!やめて!」




その目に涙をためて、必死にしがみつく恵梨華。




そんな恵梨華の姿を見て落ち着きを取り戻したアンダーテイカー。




そっと恵梨華の頭を撫でた。




「怖い思いさせちゃったねェ」




優しい声色で恵梨華を落ち着かせるように囁くアンダーテイカー。




しばらくすると、恵梨華はそのまま気持ち良さそうに眠ってしまった。




「おやおや・・困ったお姫様だ」




恵梨華を抱きかかえると、アンダーテイカーはシエルとセバスチャンをギロリと睨んだ。




「今回はこの子に免じて許してあげるけど、次に手を出したら・・・容赦しないよ」




先程までの穏やかさは消え、冷たい目をしていた。




まるで獲物を狙う獣のような目だった。




シエルとセバスチャンは静かに息を飲んだ。




「じゃあ・・・小生達は帰るとするかねェ」




そしてそのまま店へと帰った。




アンダーテイカーは恵梨華を柩にそっと降ろすと、どこかへ消えてしまった。














月明かりが差し込み、恵梨華は目を覚ました。




「あ・・れ・・・?・・・私、いつの間に帰ってきたんだろう」




「ヒッヒッヒ・・・やっとお目覚めか〜い?小生のお姫様」




「ア、アンダーテイカー?私、一体・・・?」




困ったように慌てていると、アンダーテイカーが恵梨華の目の前に跪き、




「小生からのプレゼント・・・受け取ってくれるかい?」




恵梨華の左手を持ち上げ、薬指にそっと指輪をはめた。




「あっ・・///」




左手の薬指、それは結婚指輪を意味していた。




「綺麗・・・アンダーテイカーの瞳の色と同じだね」




シエルやセバスチャンの時は気がつかなかった事を口にする恵梨華。




アンダーテイカーはそれを聞くと満足そうに微笑んだ。




「愛しているよ・・・恵梨華」




二人は甘い甘い誓いのキスをした。



-END-
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