短編夢小説T

□奇跡の口付け
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”アンダーテイカーに逢いたい”




シエルの気持ちは凄く有難かったけど、どうしてもアンダーテイカーに逢いたかった。




「あ・・・あのね!その前に連れてって欲しいところがあるの・・・!」




「ん?それはどこだ?」




「・・・Under taker・・///」




耳まで真っ赤にしながら声を絞るように出す恵梨華。




そんな恵梨華の様子を見て、二人は少し残念そうにため息をついた。




「(あんな変態のどこがいいんだ・・・)」




「(まさかこんなに可愛らしいお嬢様が・・・あの方をご所望とは・・・)」




仕方なく恵梨華をアンダーテイカーの店に連れて行った。




「うっわぁ・・・近くで見ると案外不気味なんだね〜」




恵梨華が店をまじまじと見ていると、シエルが扉を開けた。




「いるか?アンダーテイカー」




店の中には誰もいなかった。




しかし、どこからともなくアンダーテイカーの声が響き渡る。




「ヒーッヒッヒッヒ・・・ようこそ、伯爵。やっと小生特製の棺に入ってくれる気になったのか〜い?」




キィィィという音と共に目の前の棺が開いた。




「・・・そんな訳あるか」




呆れたように呟くシエル。




恵梨華はこっそりとドアのふちからそのやり取りを見ていた。




「(ほ、本物!!本物のアンダーテイカーだ!)」




興奮したようにハァハァと息を荒げニヤニヤしている恵梨華はアンダーテイカーと同じくらい変態に見えた。




扉のふちにこっそり隠れている恵梨華を見つけると、アンダーテイカーは恵梨華に声をかけた。




「おやぁ〜?見ない顔だねェ。伯爵の知り合いか〜い?」




恵梨華は、プシューっと湯気を出してその場に倒れこんだ。




勿論、地面に激突する事はなく、すかさずセバスチャンが抱きとめた。




「お嬢様には刺激が強すぎたみたいですね」




ニヤリと悪魔笑いを浮かべるセバスチャン。




カーッと顔が赤くなった。




セバスチャンが恵梨華をそっと降ろすと、恵梨華は思い人であるアンダーテイカーの元に向かった。




「あ・・あの・・・は、はじめま・・して・・・!」




震える声で挨拶をした。




「ヒッヒッヒ・・・そんなに緊張しないでおくれ?」




「(ああああああ!その笑い声やばいんです!)」




恵梨華は落ち着かせるように深呼吸を繰り返した。




「恵梨華、事情を話してやれ。セバスチャン、僕たちは外に出るぞ」




「イエス・マイロード」




セバスチャンは不思議に思ったが、すぐに理由が分かった。




「ぶひゃひゃひゃはははは〜〜〜」




外にいても分かるくらい大きな笑い声が響いた。




「はぁ・・・やはりな」




呆れたように言うと、シエルは店へと戻った。




「イーッヒッヒッヒ・・・小生は理想郷を見たよ・・・」




涎を垂らしながらぴくぴくと震えるアンダーテイカー。




「恵梨華、僕はもう帰るが、もし何か困った事があればいつでも言ってくれ」




そう言うとシエルはセバスチャンを連れて店を後にした。




残された二人。




恵梨華は気まずくて仕方が無かった。




目の前にはあの憧れのアンダーテイカー。




もうそんな状況だけで気が狂いそうだった。




「ヒッヒ・・・恵梨華は真面目そうな顔をして面白い事を言うんだねェ?」




「いや・・・本当の事なんだけど・・」




「ぶふぉー!」




思い出したかのようにまた笑い出すアンダーテイカー。




「どうしたら信じてくれるの・・・」




恵梨華が真剣に悩んでいると、アンダーテイカーは急に真面目にいった。




「こっちの世界へはどうやって来たんだい?」




「そ・・・それは・・・///」




恥ずかしくて顔を抑えていた恵梨華だったが、言わないと信じてもらえないと思い、意を決して言った。




「漫画の表紙の・・・その・・アンダーテイカーに・・・キス・・・したら・・」




それを聞くとアンダーテイカーは妖しく微笑んだ。




「なら小生と口付けをしたら戻れるかもしれないねェ?」




ニヤニヤと楽しそうに笑うアンダーテイカーだったが、突然恵梨華に抱きつかれた。
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