短編夢小説T
□奇跡の口付け
3ページ/3ページ
「嫌!帰りたくない!アンダーテイカーと・・・ずっと一緒に居たい・・・」
泣きながらアンダーテイカーにしがみつく恵梨華。
そんな恵梨華の姿を見て、アンダーテイカーは罪悪感を感じていた。
「すまなかったねェ、恵梨華」
そっと優しく頭を撫でられ、恵梨華は安心したかのようにそのまま眠りについた。
「おやおや・・・しょうがない子だねェ」
アンダーテイカーは眠る恵梨華の額にそっと口付けをした。
そしてそのまま恵梨華を抱きかかえ、大きめの柩に入り蓋を閉めた。
朝目が覚めると真っ暗だった。
そして何かに抱きしめられているような感覚。
恵梨華が起き上がろうとすると、
ガタッ・・・
何かに頭をぶつけてしまった。
「ヒッヒ・・・おはよう?恵梨華」
「っ〜〜〜!///」
朝から艶っぽい声が近くで聞こえ、心臓が飛び出るかと思った。
はわはわと慌てる恵梨華。
そんな恵梨華を見て面白そうにニヤニヤするアンダーテイカー。
「ア、アンダーテイカー!朝から心臓に悪いよ・・」
「小生はただ朝の挨拶をしただけだよォ?それともお目覚めのキスした方がよかったかい?」
「もうっ・・・!///」
「ヒッヒッヒ・・・可愛いねェ」
恵梨華を抱きしめる腕に力が入った。
「もう・・・離さないよ」
大好きなアンダーテイカーの匂いに、温もりに包まれて、恵梨華はニヤニヤが止まらなかった。
アンダーテイカーに悟られないよう、顔はアンダーテイカーの服に埋めていた。
「そんなにくっついてると・・・ここで襲っちゃうよ?」
「っ・・・///」
「ヒッヒッヒ・・小生の理性にも限界があるんだからねェ?」
柩の中は甘いムードに包まれていた。
はたから見ればそれはとても不気味な事なのだが。
「アンダーテイカー・・私ね、今すごく幸せなの」
満面の笑みを浮かべる恵梨華。
思わずアンダーテイカーの頬が染まった。
「アンダーテイカーの性格も・・・声も・・・体も・・・そして・・・」
そっとアンダーテイカーの前髪を持ち上げた。
「この瞳も・・・顔も・・・すべて・・・好き・・・」
「恵梨華・・・小生も恵梨華の全てを・・・愛しているよ」
見つめあい、そして静かに唇を重ねた。
深い深い口付け。
お互いの存在を確かめるかのように、二度と離れ離れにならないように。
きつく抱きしめ、しがみ付き、燃えるような口付けをした。
しばらくその甘い甘い時間を楽しんだ二人。
「はぁ・・・はぁ・・・ア、アンダー・・・テイカー・・・っ」
甘い吐息を漏らしながら名前を呼ぶ恵梨華。
「ん・・・どうしたんだい?」
「私・・・消えてないね」
「・・・ぶふぉー!」
アンダーテイカーは思わず吹きだした。
しばらく笑っていたかと思うと、平静を取り戻し真面目な顔をして言った。
「安心おし?恵梨華が元の世界に戻ったら小生も恵梨華の後を追ってついていくさ」
「アンダーテイカー・・・」
「恵梨華・・・もうこの手を離さないよ」
そして再び唇を重ねた。
こうして恵梨華とアンダーテイカーは一日中、柩の中で愛を確かめ合った。
-END-