短編夢小説T

□戦場に咲く一輪の葬儀屋さん
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そして悪魔目掛けて勢いよく振り下ろした。





ギリギリギリ・・・





悪魔はボウガンでそれを受け止めた。





「何でも切れる死神の鎌が・・・聞いて呆れるね?」





不敵な笑みを浮かべる悪魔。





頭に血が上ったグレルは、容赦なく攻め立てた。





キンッ・・・キンッ・・・キンッ・・・





ガシャッ・・・





悪魔の右手からボウガンが落ちた。





「今ヨ!」





グレルが両手でデスサイズを持ち上げたその時だった。





悪魔がグレルの腹部に槍を突き刺した。





「がぁぁああ・・・!」





あまりの激痛にグレルはよろよろとその場に倒れこんだ。





「バカだなぁ、僕は本当は左利きなんだよ?」





クスリ、と笑う悪魔。





そしてグレルが動けない事を確認すると、一歩一歩恵梨華に近づいてきた。





ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・





悪魔の足音に恐怖で体が震える恵梨華。





そしてその音が自分の目の前で止まった。





もうだめだ、と思った恵梨華はギュッと目を瞑った。





しーん・・





いくら待っていても襲ってこない悪魔。





勇気を振り絞っておそるおそる目を開けると・・・。





「ア、アンダーテイカー!?」





目の前にアンダーテイカーが立っていた。





手には大鎌のデスサイズが握られていた。





「君かい?小生の恵梨華を傷つけたのは・・・」





ギリッ・・・と歯を軋ませた。





辺り一帯をアンダーテイカーの殺気が包み込んだ。





後ろにいる恵梨華ですら、そのあまりにも恐ろしい殺気にビクリと肩を振るわせた。





悪魔もその殺気に恐怖を感じていた。





しかし、負けじと挑発する。





「だとしたら・・・?」





「・・・だとしたら・・・簡単には逝かせないよ!」





それは一瞬の出来事だった。





その場にいた誰もが、アンダーテイカーの姿を捉えることが出来なかった。





悪魔は少しずつ切り刻まれていった。





最初は肩、次は腕、手、足、腹・・・





致命傷は無く、血がどんどん溢れてきた。





とうとう悪魔は立ってる事が出来なくなり、その場に跪いた。





「ぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」





体を抑え、息を荒げている悪魔。





そんな悪魔を冷たく見下すアンダーテイカー。





「ヒッヒッヒ・・・」





まるで狩りを楽しむかのように冷たく笑うアンダーテイカー。





傷を負った恵梨華の姿を見た瞬間からアンダーテイカーは自我を失っていた。





そして今度はデスサイズの刃の部分は使わず、柄の部分で悪魔に殴りかかっていた。





「うぐ・・・はぁ・・・ぐあっ・・・」





容赦なく攻撃し続けるアンダーテイカー。





その瞳はどこまでも冷たく鋭かった。





そして悪魔の金色の髪を鷲掴みし持ち上げた。





「惨めな姿だねェ?ヒッヒッヒ・・」





そのまま悪魔の顔を殴った。





倒れた悪魔の腹を足で踏みつけるアンダーテイカー。





「・・・」





悪魔は意識を失っていた。





唸り声をあげなくなった悪魔に苛立つアンダーテイカー。





そしてデスサイズを悪魔の心臓目掛けて突き刺した。





悪魔は死んだ。





それなのにアンダーテイカーの怒りは治まらなかった。





そんな時、そこへシエルとセバスチャンが姿を現した。





「アンダーテイカー?こんな所で何をやっている」





シエル達は最近頻繁に起こっていた連続大量殺人の件でここにたどり着いたらしい。





いつもと違うアンダーテイカーの様子を見て声をかけたのだが、返事がない。





「坊ちゃん・・・お下がりください」





危険を察知したセバスチャンは、シエルを自分の後ろに隠した。





「葬儀屋さん、どうしましたか?」





にこりと微笑むセバスチャン。





しかしアンダーテイカーはセバスチャンの方を見ると、ぼそりと呟いた。





「まだ悪魔がここにいた・・・ヒッヒッヒ」
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