短編夢小説T

□戦場に咲く一輪の葬儀屋さん
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自我を失ったアンダーテイカーは、セバスチャンだという事に気がつかない。





そのままデスサイズをセバスチャン目掛けて振り下ろした。





ドゴォオオン・・





間一髪でセバスチャンはその攻撃を避けた。





デスサイズが地面に深く突き刺さっていた。





避けたセバスチャンを見ると、アンダーテイカーはすぐにデスサイズを抜き、また斬りかかった。





「アンダー・・テイカー・・・やめて・・・?」





恵梨華はそんなアンダーテイカーを見て止めようとするが、恵梨華の声すら届かない。





左肩からは大量に血が流れており、意識が朦朧としている恵梨華。





戦いは止まらなかった。





セバスチャンですらその早い攻撃が避けきれず、少しずつ切り傷が出来ていく。





「イーッヒッヒ・・・遅いよ?悪魔君」





伝説の死神という名前は伊達ではなかった。





「もう・・やめて・・・」





恵梨華は必死に声を振り絞った。





「もうやめて!アンダーテイカー!!!」





最後の力を振り絞り、大声で叫んだ。





その声を聞いたアンダーテイカーは、ハッと我に返った。





血に染まったデスサイズ。





返り血だらけの服。





「しょ、小生は一体・・・?」





「やっと正気に・・・はぁ・・・戻られましたか・・・葬儀屋さん」





少し息が乱れたセバスチャン。





体中に無数の切り傷があった。





「し、執事君!?」





アンダーテイカーは驚いたようにセバスチャンを見た。





「・・・小生がやったのかい?・・・すまなかったねェ」





目を伏せ、落ち込んでいる様子のアンダーテイカー。





セバスチャンはそんなアンダーテイカーにニッコリと微笑んで言った。





「私はこれくらい大丈夫ですので。それより恵梨華さんが・・・」





セバスチャンは恵梨華の方に視線を送った。





アンダーテイカーは倒れている恵梨華を見つけると、そっと抱きしめた。





「恵梨華さんがいなかったら・・・私は貴方に殺されていましたよ」





セバスチャンはそう言いながら少し苦笑いをした。





「恵梨華・・・ごめんよ?すぐに手当てをしてあげるからねェ」





そう言うとアンダーテイカーは恵梨華を抱きかかえた。





「執事君、本当にすまなかったよ」





セバスチャンに一言言うと、アンダーテイカーは死神派遣協会へと向かった。












恵梨華はすぐに医務室に運ばれた。





手当てが早かったため、恵梨華は一命を取り留めた。





「あれ・・・ここはどこだろう・・?」





目が覚めると病室のベットで寝ていた。





ふと、誰かに手を握られている事に気がついた。





そっと顔をそちらに向けると、そこには眠っているアンダーテイカーがいた。





「アンダー・・テイカー・・・?」





名前を呼ぶとアンダーテイカーは目を覚ました。





「恵梨華!!」





目を覚ましたアンダーテイカーは、恵梨華を見るなり抱きついた。





「いっ・・!」





抱きつかれて傷口に響いた。





「あ・・・す、すまないねェ」





慌てて離れるアンダーテイカー。





「大丈夫だよ。それよりアンダーテイカー、グレルはどこにいるんだ?」





「ん〜?ああ、赤い死神君ならおいてきたよ」





さらりと凄い事を言うアンダーテイカー。





「お、置いてきた!?お前何やっ・・・」





痛みに眉を寄せた。





慌てて左肩を抑える恵梨華。





「大丈夫さ、彼は生命力が強いからねェ〜?ヒッヒッヒ」





そんな話をしていると、勢いよく病室のドアが開いた。





「ちょっと〜!酷いじゃないっ!アタシを置いて行くなんて〜!」





あまりにも元気なグレルに思わず恵梨華とアンダーテイカーは吹き出した。





「ぶっ!あははは!イーヒヒッ!」
「ぶひゃひゃはは!ヒーッヒッヒ!」





突然笑い出した恵梨華達をグレルはただ呆然と見ていた。





「んもうっ・・なんなのヨ・・・!」





グレルは少し拗ねたように頬を膨らましたが、楽しそうな二人を見て口元が緩んだ。





「無事で・・・よかったワ☆」



-END-
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