短編夢小説T
□伝説のコスプレイヤー
2ページ/4ページ
恵梨華が戸惑っていると、突然アンダーテイカーに抱きしめられた。
「小生の恵梨華をジロジロ見てんじゃないよ!」
店の男をギロリと睨んだ。
「す、すみませんでした!」
慌てて謝る男性店員。
「(ひょ、ひょっとして妬いててくれたのかな・・・?)」
恵梨華は機嫌が悪い原因が分かって少しほっとした。
「さあ、帰るよ?恵梨華」
恵梨華の手を引くアンダーテイカー。
恵梨華は嬉しさと恥ずかしさで頬を赤く染めていた。
そして無事に店に到着した。
「はぁ・・・全く、あんまり小生を心配させないでおくれよ」
「え・・ぁ、ご、ごめんなさい・・・」
素直に謝る恵梨華。
「(あれ、でも私なんで謝ってるんだろう・・・?)」
そんな事を思いながら苦笑いするしかない恵梨華だった。
そんな恵梨華にふと思い出したかのようにアンダーテイカーが言った。
「そうだ・・・今年はテムズ河の氷上マーケットに出店するからねェ?まぁ、恵梨華なら知ってるねェ」
「おー!10話だねっ♪楽しみ!」
恵梨華は楽しそうに微笑んだ。
「私!一度でいいからアンダーテイカーをあれだけ笑わせたアバーラインの話を聞いてみたかったの!」
両手で口元を押さえ、ウッシッシと笑う恵梨華。
「ま、まあ、恵梨華が喜んでくれれば小生はそれでいいさ」
そういうと、そっと恵梨華の頭を撫でた。
「それじゃぁ、折角材料買って来たんだから、骨型クッキー作ろ!」
上機嫌の恵梨華はまた鼻歌を歌いながらキッチンへと向かった。
そんな恵梨華に戸惑いながらも、アンダーテイカーは恵梨華の後を追った。
「気になってたんだが・・・その鼻歌は何の歌なんだい?」
「えへへ♪気になる!?」
悪戯に笑う恵梨華。
「ああ・・・歌っておくれ?」
「楽しい楽しい 葬儀屋楽しい
あなたの身体は〜小生のモノ
お悩み無用 憂いも無用
いつでもお気軽に ご相談あれ〜♪」
「ま、まさかそれは小生の歌かい?」
「正解っ!私、この歌大好き♪」
「(恵梨華の世界の小生は商売の幅が広いんだねェ・・・)」
アンダーテイカーは少し苦笑いしながら恵梨華を見つめた。
「私ね・・・こっちの世界に来れて本当によかったんだよ・・?」
「恵梨華・・・」
「アンダーテイカーのいないあっちの世界なんて・・・」
そこまで言うと恵梨華は悲しそうに俯いた。
恵梨華が俯いていると、突然視界が銀色に染まった。
「大丈夫・・・もう恵梨華には小生がついてるからねェ?」
アンダーテイカーが優しく微笑むと、恵梨華は落ち着きを取り戻した。
そして二人は楽しくクッキーを作った。
それから何日か過ぎ、念願のフロストフェアの日がやってきた。
「おー!すごい!すごい!アンダーテイカー!見て見て!!」
氷の上を楽しそうに走る恵梨華。
アンダーテイカーも思わず笑みが零れた。
ドンッ・・・
案の定、盛大に転んでしまった恵梨華。
アンダーテイカーは慌てて恵梨華の元にかけよった。
「危ないじゃないか・・・いいかい?氷の上では小生のこの手を離しちゃだめだよ?」
そういうとアンダーテイカーにギュッと手を握られた。
そんなアンダーテイカーの行動にキュンとしてしまう恵梨華。
「う、うん・・///」
照れたように視線をそらせ、握られた手をそっと握り返した。
しばらくすると、例の如くアバーラインがやってきた。
「アバーラインキターーーー!」
思わず叫ぶ恵梨華。
キラキラと目を輝かせ、期待に満ちた表情を浮かべた。
「えっと・・・君は?」