短編夢小説T

□伝説のコスプレイヤー
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恵梨華の顎を持ち上げ、無理矢理目と目を合わせた。





「どこを向いているんだい?」





妖しい光を放つ黄緑色の瞳。





それはどんな宝石よりも美しく、吸い込まれそうだった。





恵梨華は我を忘れ、ただその黄緑色の美しい瞳に魅入られた。





まるで魔法にかかってしまったよう。





そのままアンダーテイカーの両頬に手を置き、ひたすら見つめていた。





恵梨華の大胆な行動にアンダーテイカーは少し驚き、バランスを崩し倒れてしまった。





柩の上でアンダーテイカーを押し倒すような形になった。





それでも恵梨華は我を忘れてアンダーテイカーと見つめあう。





静かな時間が流れていた。





まるでここだけ時が止まってしまったような、二人だけの空間。





「失礼。先程は捜査にご協力あり・・・!?」





突然アバーラインが店を訪ねてきた。





勿論、二人の姿を見て驚いた。





あのアンダーテイカーが女に押し倒されているのである、驚かないはずがない。





アバーラインの声にハッと我に返った恵梨華。





みるみるうちに顔が赤くなっていった。





「ア、アバーラインさん!違うんです!こ、これは・・事故というか誤解というか・・・」





慌てて弁解するが、時すでに遅し。





「じ、自分は何も見てないので!し、失礼しました!」





慌てて店を出て行ってしまった。





店内に嫌な沈黙が流れた。





「ああああああああ!どうしよう!どうしよう!」





わたわたと慌てる恵梨華。





アンダーテイカーは落ち着いた様子でヒッヒッヒと笑っているだけだった。





「ちょっと!アンダーテイカーも慌ててよ!」






「ヒッヒ・・・気にする事ないさ。これであの警部補君にも恵梨華は小生のモノって分かってもらえただろうしねェ?」





「よくなーい!」





恵梨華は誤解を解こうと急いでアバーラインのところへ向かった。





ズドーン・・





本日二度目の転倒である。





恵梨華は情けないやら何やらで起き上がる事もなく、その場で泣き始めた。





「うぐっ・・・ひっく・・・」





「ほらほら、小生のお姫様。そんなところで寝てると風邪引くよ?」





うずくまって泣いている恵梨華をお姫様だっこで抱きかかえるアンダーテイカー。





しかし恵梨華は泣き止まない。





「違うもん・・・うっ・・・ひっく・・・押し倒してないもん・・・」





「しょうがないねェ、一緒に警部補君の誤解を解きに行こうねェ〜?」





アンダーテイカーはそのままアバーラインのところへ向かった。





「ひっく・・・うぅ・・・ひっく・・・」





運が悪いことに、二人はシエル達に遭遇した。





「恵梨華!?一体どうしたんだ!?」





シエルが驚いたように恵梨華に声をかけた。





しかし恵梨華はそれに気づかなかった。





「お嬢様・・・葬儀屋さん、まさかとは思いますけど貴方・・・」





シエルとセバスチャンの痛いほどの視線がアンダーテイカーに向けられる。





「しょ、小生は何もしてないよ!?」





二人の軽蔑したような眼差しが相当堪えたのだろう、少し焦るアンダーテイカー。





しかしそんな態度が誤解を招いてしまう。





「セバスチャン。命令だ、恵梨華を保護しろ」





「イエス・マイロード」





セバスチャンは一瞬のうちに恵梨華を奪っていた。





泣き続けている恵梨華はそんな事に気づく余裕もなかった。





「やはりコイツに恵梨華を預けたのは間違いだったな」





嫌悪感剥き出しでアンダーテイカーを睨むシエル。





「少しは小生の話を聞いておくれ!」





いつもの不気味な笑顔が消え、真顔で怒鳴るアンダーテイカー。





「・・・ならば早く言え」





それからシエル達に包み隠さず話したアンダーテイカー。





やっと誤解が解け、セバスチャンが恵梨華を手渡そうとした。





「おやおや、余程お疲れだったようですね」





すやすやと気持ち良さそうに眠る恵梨華。





そんな恵梨華の姿を見て、三人の顔はほころんでいた。



-END-
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