短編夢小説T
□悪い子にはお仕置きを
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「(やっぱり買い物は楽しいなぁ♪)」
楽しそうに買い物をする恵梨華。
しかしあまりにも大量の材料を買ってしまいどう運ぼうか困っていた。
「(う〜ん、ちょっと買いすぎちゃったかな・・・重っ!)」
何度も試みるが、一向に持ち上がらなかった。
そんな恵梨華に声をかけてきた一人の青年がいた。
「どうされましたか?」
にっこりと爽やかに微笑む。
「あっ・・・実は買いすぎちゃって持てなくなっちゃいまして・・・」
アハハ、と苦笑した。
「では、僕が家までお持ちしますよ」
ひょいっと片手で荷物を持ち上げた。
「い、いいんですか!?」
「はい、丁度僕も暇でしたので」
さすが英国紳士だなぁ、と感心する恵梨華だった。
しばらく世間話に花を咲かせていた。
「恵梨華さんは外見だけではなく中身もお美しい方ですね」
「そ、そんな・・!美しいだなんて・・・!」
頬を紅潮させながら視線をそらした。
「そうだ、少しお茶でもしていきませんか?お洒落な喫茶店があるんですよ」
「え・・・で、でもあんまり遅くなると・・・」
アンダーテイカーの怒った顔が頭をよぎった。
「大丈夫、すぐ近くですし時間もそんなにかからないですよ?」
「う、う〜ん・・・」
恵梨華が困ったように考えていると、
「僕とじゃ・・・嫌ですか・・・?」
悲しげに俯く青年。
そんな姿を見たら断る事が出来なくなった。
「そ、そんな事ないですよ!・・・少しだけなら大丈夫です!」
慌ててフォローする恵梨華。
すると青年はパァァと明るい笑顔に変わった。
「よかった・・!それじゃあ行きましょう!」
恵梨華はその笑顔を見てほっとした。
暫く歩いていると、街とは反対方向へ向かっている事に気がついた。
「こんな方に・・・お洒落な喫茶店が・・・?」
「はい、静かで落ち着いた雰囲気のとてもいいところですよ」
それを聞くと恵梨華は安心した様子でそのまま青年についていった。
しかし二人はどんどん暗い裏路地へと向かっていく。
「なんか・・・怖いね・・・」
キョロキョロと辺りを見回しながら言った。
昼間だと言うのに薄暗い。
そしてチラチラと悪そうな人たちがこちらを見ていた。
「・・・ここまで来ればいっか。皆!今日の獲物だよ」
そういうと青年は不気味に笑っていた。
先程まで優しい雰囲気を漂わせていたのに、今はまるで別人のよう。
青年の言葉にぞろぞろと男たちが集まってきた。
「えっ・・・」
恵梨華は恐怖で声が出なかった。
震える足で必死に後ずさりする。
しかしじりじりと男たちとの距離は縮まっていった。
「ど、どうして・・・」
恵梨華は恐る恐る青年に声をかけた。
「君みたいな美女は貴族たちに高く売れるんだよ。勿論僕達が味見した後に・・・だけどね」
クスリと笑う青年。
恵梨華は恐怖で真っ青になっていた。
「(に、逃げなきゃ・・・!)」
渾身の力を振り絞り、その場から逃げようと走り出した。
しかしあっという間に手を掴まれ、その場に押し倒された。
「い、いや・・・!いや・・!やめて!触らないで・・・!」
必死に抵抗する恵梨華。
すると突然、頬に痛みを感じた。
男に顔を殴られたのである。
「暴れんな!じっとしてりゃー気持ちいい事してやるよ」
上に跨っている男がニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「おい、顔は傷つけるなよ。価値が下がるだろ」
青年は男に注意した。
その冷たい瞳に血の気が引いていくのが分かった。
体が小刻みに震え、涙が止まらない。
男はそんな恵梨華を気にする様子も無く、恵梨華の服に手をかけた。
体が強張り、ギュッと目を瞑る恵梨華。
・・・その時だった。