短編夢小説T

□悪い子にはお仕置きを
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「何をしてるんだい?」





静かなその場に恐ろしいほどの殺気が充満していた。





その場にいた全員が声のする方に振り向いた。





そこにはアンダーテイカーが立っていた。





「アンダー・・・テイカー・・・?」





震える声で、その存在を確かめるかのように呟いた。





「恵梨華・・・安心おし?今助けてあげるからねェ」





恵梨華をなだめるかのように優しく言った。





そして冷たい瞳が男たちを捉えた。





「小生の恵梨華に手を出した事・・・あの世で後悔させてあげようか」





「っやろう、言わせておけば・・・!」





一人の男がアンダーテイカー目掛けて殴りかかってきた。





「・・・遅いよ」





素早くそれをかわし、鳩尾に指を突き立てた。





「うっ・・・」





ドサッ・・・





男がその場に倒れこんだ。





それを見た仲間たちは慌てて逃げていった。





恵梨華に跨っている男一人を除いて。





「く、くるな!くるなよ!?コイツがどうなっても・・・!」





男が言い終わる前に、男の首筋にアンダーテイカーの爪が突き立てられていた。





ゴクリ・・・





男は静かに息を飲んだ。





「このままあの世に送るよりも・・・生きたまま小生特性の柩に入れて埋めてあげようかねェ?」





ヒッヒッヒといつもの不気味な笑い声。





「ひぃぃぃ!」





男は慌ててその場を逃げ出した。





アンダーテイカーは追いかける事をせず、恵梨華の涙をそっと指ですくった。





「怖かっただろう?そんなに怯えて・・・」





「・・・っ・・・アンダー・・・テ・・・・カッ・・・」





未だに身体の震えが止まらない。





アンダーテイカーはそんな恵梨華を優しく抱きしめた。





「恵梨華・・・もう大丈夫だよ」





恵梨華は安心してアンダーテイカーの胸を涙で濡らした。





「う・・・ひっく・・・」





アンダーテイカーはそのまま恵梨華を抱きかかえ、店へと戻った。





ガチャリ・・





店のドアに鍵をかけ、静かに恵梨華を降ろした。





「さぁて・・・一人で出かけた悪い子には・・・お仕置きをしないとねェ・・・?」





ニタリと笑うアンダーテイカー。





しかし目が笑っていなかった。





恵梨華はその場で動けずにいた。





「このまま殺して・・地下室で小生特製の柩に入れて永遠に可愛がってあげようか・・ねェ?」





ゾクリと背筋に寒気が走った。





恵梨華を見るアンダーテイカーの瞳はどこまでも冷たかった。





そんなアンダーテイカーに恐怖を感じ、無意識のうちに後ずさりしていた。





いつの間にかアンダーテイカーの手には大鎌のデスサイズが握られている。





そして後ずさりしている恵梨華に一歩一歩近づいてきた。





「イッヒッヒ・・・怖がらなくていいんだよ〜?大丈夫、一瞬で終わらせてあげるよ〜?」





恵梨華は壁際まで追い詰められていた。





「まるで・・・追い詰められた哀れな兎のようだねェ」





ダンッ・・!





恵梨華の顔のすぐ近くに勢いよく腕をついた。





ビクッ!





身体を強張らせる恵梨華。





そんな恵梨華の顔を覗き込むように前かがみになっているアンダーテイカー。





帽子が落ち、前髪の隙間からギラギラと光る黄緑色。





いつもなら見つめられると頬を染めていたが、今は恐怖しか感じなかった。





”殺される”





恵梨華は死の恐怖に包まれていた。





「木枠はウェールズ産の高級マホガニーにしようかねェ?」





不気味な笑みを浮かべていた。





「お布団はヨークシャー産の品質認定書付きウールにしてあげるよ」





デスサイズの刃が恵梨華の首筋に当てられた。





「大丈夫・・・小生が綺麗にしてあげるよぉ・・?」





恵梨華は拳を握り締め、唇を噛み締め、覚悟を決めたように目を閉じた。
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