短編夢小説T
□クリスマス終了のお知らせ
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そんな視線に気づいた恵梨華。
「な、なに?ど、どうしたの?」
しかし二人は黙り込んでしまった。
しばらく三人の間に沈黙が流れた。
そんな空気を断ち切ったのはグレルだった。
「さぁて、そろそろ時間ネ☆」
いつものようにウインクをしながら言うグレル。
「私結構引退してからブランクあるしー・・・心配だなぁ」
「何言ってんのヨ☆そんなでかいデスサイズ振り回せるのなんてアンタくらいヨ?」
大剣の形をしたデスサイズ。
そのデスサイズが持ち主として認めた者以外には持つ事が出来なかった。
「こんな軽いのになー・・・」
片手でぶんぶん振り回して見せた。
「だっ、だから危ないわヨ!」
慌てるグレルに恵梨華は少し微笑んだ。
「二人とも、遊んでる場合ではなくなりましたよ」
ウィリアムが静かに言った。
犬の遠吠えが聞こえたかと思うと、ロンドンは火の海に包まれた。
「早速仕事に取り掛かりますよ、恵梨華、グレル・サトクリフ」
リスト片手に夢中で魂を狩るグレルとウィリアム。
しかし恵梨華は違和感を感じていた。
「この黒いの・・・まさか・・・!」
恵梨華はある事に気づき、慌てて二人の元へと向かった。
「ウィル!グレル!聞いて!」
焦った様子の恵梨華に二人は手を止めた。
「どうしたんですか?恵梨華」
「んもうっ、なにヨ〜、今イイ所だったのに〜」
「この黒いの・・・これ人間の心だよ」
恵梨華の言葉に顔を合わせて首を傾げる二人。
「心が抜けた魂は・・・死神図書館には収められないの・・・」
「「っ・・・!」」
驚いた表情を浮かべる二人。
恵梨華は静かに塔の天辺を見つめた。
「くそ羽虫め・・・」
「死神の利権に手を付けられたとなれば・・・仕方ありませんね」
ウィリアムもやる気になったように眼鏡をデスサイズでカチャリと直した。
「ウィル!皆を呼んできて!この黒いのを狩り取るのよ!」
「わかりました。では、グレル・サトクリフ、ここは貴方に任せますよ」
「了解DEATH☆」
「さぁ・・・ショータイムと行きますか!」
「派手に行くわヨ〜!恵梨華!」
街中から立ち込める黒い煙をどんどん狩り取っていく恵梨華とグレル。
そして途中からウィリアムとその仲間たちが応援にやってきた。
「これで・・・最後!」
恵梨華が最後の煙を狩り取った。
「さーて・・・おいたが過ぎる悪い子には・・・お仕置きをしないとね」
恵梨華は塔の天辺へと向かった。
慌てて恵梨華についていくグレルとウィリアム。
塔の天辺は、燃え盛る地上とは違い、静まり返っていた。
嫌な霧に包まれている。
「これじゃぁ・・・見えないじゃない!」
恵梨華が怒りの声をあげると、霧はスーッと無くなっていった。
「これは・・・一体・・・?」
「恵梨華、今何かしたんですか?」
ウィリアムも驚いたように聞いた。
「ううん・・・私は何もしてないけど・・・」
「ねぇ?それよりあそこ・・・誰かいるわヨ」
まだ霧が漂っている遠くの方に二つの黒い影。
三人は一歩一歩、その影に近づいていった。
徐々にその姿が露わになっていく。
「羽虫・・・!」
恵梨華はギリギリと歯を食いしばった。
そしてもう一つの影を見た。
その姿を見て恵梨華は驚いた表情を浮かべた。
「・・・・・・・アンダー・・・テイカー・・?」