短編夢小説T

□死神の契約
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白い薔薇を一輪、恵梨華に差し出しながら言った。





「誓うよ・・・!」





恵梨華は力強く言い、渡された薔薇を受け取った。





そして本に記されていた通り、左手で薔薇を持ち、魔方陣の上に置いた。





「ここに二人の愛を契約しよう・・・行くよ?恵梨華」





「うん・・・!」





二人は同時にその白い薔薇を握りつぶした。





棘が刺さり、左手に痛みが走る。





アンダーテイカーと恵梨華の血が、ポタリと魔方陣とデスサイズの上に落ちた。





するとぽわんと暖かい光に包まれる。





「綺麗・・・」





恵梨華は思わずそう呟いた。





段々と光が強くなる。





そして一層強く光を放つと、二人は思わず目を瞑った。





しばらくするとその光は消えていた。





恐る恐る目を開ける。





目の前の魔方陣が消えていた。





先程血を流していた左手の傷は消え、手の甲に魔方陣が浮かび上がっていた。





魔方陣の上にクロスするようにアンダーテイカーと恵梨華のデスサイズが描かれている。





「これが・・・私達だけの契約の証・・・」





恵梨華はふと、アンダーテイカーを見た。





「ア、アンダーテイカー・・・その右目・・・!」





手の甲の契約の証が瞳に映っていた。





「ヒッヒッヒ・・・鏡を見てごらん?恵梨華の右目にも・・ほら・・・」





アンダーテイカーは持っていた手鏡を恵梨華の方に向けた。





恵梨華の右目にもアンダーテイカーと同じように契約の証が浮かび上がっていた。





「これで小生たちは永遠に離れられなくなったよ?」





不敵な笑みを浮かべるアンダーテイカー。





「結婚なんて目じゃないね・・!永遠の・・・愛の誓い」





思わず二人は抱きしめあった。





愛しい恋人を見る優しい瞳。





黄緑色が優しく輝いていた。





静かに重なる唇。





恵梨華は恍惚な表情を浮かべていた。





そんな恵梨華を妖しい瞳で見つめるアンダーテイカー。





「・・・今日は小生たちの初夜という事になるねェ・・?ヒッヒ」





「なっ・・・!」





恵梨華はその言葉に思わず固まってしまった。





「さあ・・・おいで、恵梨華」





アンダーテイカーの声に反応し、恵梨華はゆっくりとした足取りでアンダーテイカーの腕の中に行く。





幸せそうな笑顔。





まるで世界の幸せを全て手に入れたかのような二人。





繋いだ手、指と指を絡ませる。





二人は静かに書斎を後にした。



-END-
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