短編夢小説T

□その美貌には勝てない
2ページ/2ページ

「小生が君より劣ってるとでも〜?」





「むしろ負けてる所がないですよ」





「・・・言ってくれるねェ〜?」





「恵梨華だって、何でアンタみたいなのと一緒にいるんだか・・・変わった子ですよね」





すると突然、アンダーテイカーはアンディーの胸倉を掴んだ。





アンダーテイカーの銀色の髪がふわりと宙に浮いた。





アンディーはあまりの速さに目を見開いて驚いていた。





「恵梨華の事を侮辱するなら・・・許さないよ?」





前髪の隙間から零れる黄緑色の燐光。





怪しく光るその瞳に、アンディーは思わず息を呑んだ。





「と、とにかく、僕はアンタに負けてる部分はないと思いますよ」





慌てた様子でアンダーテイカーの掴んでいた手をパシッと払った。





「僕のがカッコイイですしね」





不敵に笑うアンディー。





「ヒッヒッヒッ・・・素顔を見た事もない相手にすごい自信だねェ〜?」





「アンタ相手なら見るまでもないですけど・・・ね・・・・・・?!」





アンディーの言葉を聞いたアンダーテイカーはおもむろに髪をかきあげた。





口角を上げ、ニヤリと笑うアンダーテイカー。





アンディーはアンダーテイカーのあまりの美しさに言葉を失っていた。





「(こ、これがあのアンダーテイカー・・・なのか!?)」





目を疑うようにゴシゴシと何度も目を擦り、アンダーテイカーを確認する。





「ヒッヒッヒッ・・・それじゃあ小生はこの辺で失礼するよ」





アンダーテイカーは前髪をおろすと、落ちていた帽子を拾い上げ頭にポンッと乗せた。





「もう小生の恵梨華に手を出さないでくれよ?アンディー君」





背中越しに忠告をするアンダーテイカー。





そしてヒラヒラと袖を揺らしながら、店の外へと消えていってしまった。





アンディーはその場で立ち尽くしていた。





「(僕が・・・負けてるなんて・・・)」





すっかり自信をなくしてしまったアンディー。





ガクリと力なく崩れ落ちた。


























店の扉を開くと、恵梨華が勢いよくアンダーテイカーに駆け寄った。





「アンダーテイカー!もう話はいいの?」





「ヒッヒッヒ・・・ああ、アンディー君は実に話の分かるいい子だったよォ〜?」





「そ、そうなんだ?」





上機嫌のアンダーテイカーに恵梨華は首を傾げた。





不思議に思っていると、突然恵梨華の体がふわりと宙に浮いた。





アンダーテイカーがお姫様抱っこをしたのだ。





「わっ・・・!な、何・・・!?」





「もう悪い虫が付かないようにしておかないとねェ〜?ヒッヒッ」





「えっ・・・?何の話ー?」





「君は知らなくていい事さァ」





アンダーテイカーは不敵に笑うと、恵梨華の唇に自分のを重ねた。





ちゅっ・・・





小さくリップ音が鳴った。





恵梨華は顔を真っ赤にして視線をそらしていた。





「さて・・・帰ろうかねェ?」





「こ、このまま・・・?」





「ヒッヒッヒ・・・ああ、そうだよォ〜?・・・嫌かい?」





恵梨華は目を瞑りながら、勢いよく首をブンブンと横に振った。





そんな恵梨華を見て満足そうに微笑むアンダーテイカー。





そのまま恵梨華を抱きかかえたまま、店へと歩いていった。



-END-
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ