短編夢小説T

□イケメンは何でも似合う
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ドキッ―





セバスチャンの心臓が脈打った。





「(嗚呼・・・お嬢様。悪魔までも虜にしてしまうなんて・・・何て罪作りなお嬢様・・・)」





恍惚な表情で頬を赤らめ恵梨華を見つめるセバスチャン。





「セバスチャン・・?」





黙って見つめられていたので不思議に思った恵梨華はセバスチャンに声をかけた。





「おっと・・・これは失礼しました。あまりにもお嬢様が魅力的でしたので・・」





「んもう〜、執事ってお世辞も完璧なんだね」





クスリと微笑む恵梨華。





「(いつになったら気づいて頂けるのでしょうか・・・)」





セバスチャンは心の中で大きくため息をついた。





「あのねセバスチャン・・・実は・・・」





中にアンダーテイカーが居る為、恵梨華はここでセバスチャンにお願いをしようとした。





しかし、突然少し遠くのほうから不気味な笑い声が聞こえてきた。





「ヒッヒッヒッ・・・」





アンダーテイカーの声だった。





恵梨華は思わず、セバスチャンの後ろに視線を向けた。





「な〜んで恵梨華がここにいるんだ〜い?」





ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべるアンダーテイカー。





「た、たまたま通りかかっただけだよ・・・?」





苦しい言い訳をする恵梨華。





背中に嫌な汗が流れた。





「まさか・・・小生に隠れて執事くんに会いに来てたのかい?」





「・・・・・だとしたらどうするんですか?葬儀屋さん」





挑発的な笑みを浮かべるセバスチャン。





「ちょ・・・!セバスチャン・・!」





恵梨華は目を見開いてセバスチャンを見た。





「小生の恵梨華を惑わすなんて・・・君は死にたいのかい?」





ふわっ・・・





風が吹いたかと思うとアンダーテイカーは一瞬でデスサイズの刃をセバスチャンの首筋に当てた。





「っ・・・・・!」





息を呑んだのはアンダーテイカーだった。





恵梨華のデスサイズの冷たい刃が、後ろから喉元に宛がわれている。





恵梨華の瞳が黄緑色の燐光を放っていた。





「なんで・・・信用してくれないの・・・!?」





怒りに声を震わせる恵梨華。





アンダーテイカーはおそるおそる恵梨華の方へと振り返った。





その瞳に大粒の涙をためて。





必死にアンダーテイカーを睨みつけていた。





悔しそうに唇を噛み締める恵梨華。





「もう・・・いいっ・・・!」





恵梨華はデスサイズをおろすと、そのまま屋敷を後にした。





門に取り残された二人。





「あぁ・・可哀相なお嬢様」





大袈裟に両手を広げるセバスチャン。





アンダーテイカーはそんなセバスチャンをキッと睨みつけた。





「元はと言えば君が小生をからかうからいけないんだろう?」





「悪魔の言う事なんて信じるあなたが悪いんですよ」





セバスチャンは悪びれる様子も無く、不敵に笑った。





アンダーテイカーのデスサイズを握る手に力が入った。





「それより・・・私とこんな事をしていていいのですか?本当にお嬢様に嫌われてしまいますよ?」





セバスチャンの言葉にハッと我に返るアンダーテイカー。





「・・・今度恵梨華に手を出したら・・・容赦しないからねェ〜?」





アンダーテイカーは釘を刺すように言った。





そして慌てた様子で急いで恵梨華を追いかけた。





「(お嬢様をモノに出来たんです・・・少しは困らせてあげないと・・・ね?)」





セバスチャンは悪魔笑いを浮かべながら居なくなったアンダーテイカーの方を見ていた。
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