短編夢小説T
□入れ替わった二人
2ページ/2ページ
「恵梨華・・・!?」
愛しい恋人の苦痛の声。
響きはいつもと違うが、それは紛れも無いアンダーテイカーの叫び声だった。
そんな声に恵梨華はハッと我に返った。
心臓に手をあて、荒い呼吸を整えるように大きく深呼吸した。
「私が好きなのはアンダーテイカーだよ。セバスチャンじゃない」
迷いのない恵梨華の瞳。
そんな恵梨華にセバスチャンは大きくため息をついた。
「はぁ・・・この姿ならお嬢様を落とせると思ったのですが・・・」
「ず、ずるいよセバスチャン・・・私がその姿に弱いのを知ってて・・・」
「ふふ・・・私は悪魔・・・ですからね?」
ニタリと笑うセバスチャン。
「・・・今は死神だけどね」
恵梨華はクスリと笑った。
「ヒッヒッヒ・・・やっぱり恵梨華は小生のモノだねェ〜?」
アンダーテイカーはおもむろに恵梨華の顎を持ち上げた。
しかし姿はセバスチャン。
恵梨華は戸惑いを隠せなかった。
「やっぱ・・・早く元に戻って・・・」
恵梨華は頬を赤く染めながら、”セバスチャン”の手を軽く払った。
そんな恵梨華の姿に呆然とするアンダーテイカー。
耐え切れなくなったアンダーテイカーは、おもむろに”アンダーテイカー”の胸倉を掴んだ。
「早く小生の体を返しておくれ!」
アンダーテイカーの願いも虚しく、それから二人は暫く入れ替わったままでした。
-END-