小説

□荒れた城 ★
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「………おや、見かけない顔ですね。どうしたんですか?」
「あらかた、道にでも迷ったんだろ。」
「そうは見えませんけど。」
「じゃあ、自分の意思でここに来たって言うのかよ。おかしくねーか?」
「その可能性が高いですね。と、なると……」
「排除か?」
「のまえに、少しだけこの城を見てもらいませんか?」
「はあ!?何言ってんだよ鏡!正気か!?」
「ええ。正気ですとも。だって、久しぶりのお客様なんですよ?排除はそのあとでもできるじゃないですか。」
「………ちっ…仕方ねえ。あとで俺にやらせろよ?」
「もちろんですよ、荒。私はこうゆうのは苦手ですから。」
「………ならついてきな。俺は荒。この《月鏡の城》の門番兼案内人だ。」
「私は鏡。荒と同じく、この城の門番兼案内人です。」
「今、この城には俺ら二人しかいねえ。」
「ここには今、城壁と和室、そして屍――城兵の屍しかありません。」

「なに青ざめてんだ。お前が、自分の意思で来たんだろ?」
「…荒、彼あやしいです。この服………」
「服…?………あ。こいつ、この前のッ!」
「貴方が来たのは、この土地を開拓するため、ですね?」

「違うだあ?んなこと言っても、鏡の目、耳は騙されねえぜ?昔から勘が鋭いんだよ、こいつは。」
「…………荒。排除していいですよ。まあ、分かっているとは思いますが。」
「おうよ。ちょうどやろうと思っていたところだ。」
「なら、お願いしますね。また、この地に屍が増えるのは少し抵抗がありますが。」
「……仕方ねえ。受けいれろ、鏡。」
「わかってますよ。今まで受けいれてきたんですから。」
「じゃあ、ひと思いにやらせてもらうぜ。」
「お好きにどうぞ。」


――――――――――――――――
「…………」
彼らは、なんだ?
何のためらいもなく、人を殺した………
何か…心当たりがあるが………なんだか…懐かしい………

バタンッ

「……?荒。あの木の陰に、誰かいます。」
「またこいつの仲間か?」
「いえ…違います。なんだか…とても懐かしいような………」

続く

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