オリジナル小説 完結

□GROW3 光影
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部屋から出てきたのは恐ろしいばかりの美貌を持った男二人だった。
一卵性の双子のようによく似た顔だ。
一方の男は黒蘭を背負っている。身長が少しばかり黒蘭より高く、白い癖のない長髪にルビーのような赤い目をし、肌も白く、いかにも上品な風格がある。
その傍らにいる男。身長は同じようだが、白い髪の男とは正反対で、黒い癖のない長髪にトパーズのような少し濃い緑の目をしている。肌は白いというわけではないが、少しだけ日焼けしたような感じだ。上品というより、横暴な雰囲気をかもしだしている。
二人とも服装に違和感があった。なぜか白いシーツのようなものを全身に巻いている。
「先輩!」
「あんたら、先生ってことはないよな。何者だよ?」
律希が冷静になって二人の男に尋ねる。
黒蘭を背負っている男が口を開く。
「どうしましょうか?ここは学校の中でしょうし、マスターが目を覚まさない今となってはどうしようもないんですけど・・・・・・」
律希の質問には答えることなく男はこれからどうしようかということを傍らの男に尋ねた。
「そいつなんだな、俺達を創成したのは」
黒い髪の男が背負われっぱなしの黒蘭を睨む。
「マスターって言ったよな・・・・・・ってことは黒蘭のグロー?」
「なんでだ?先輩はちゃんと一時の眠りにつくように術をかけただろう?これが先輩のグローだっていうなら失敗じゃないか」
「誰が失敗作だって?」
黒い髪の男が唯月を睨む。その目には殺意さえ感じられ、立っていられなくなるほどだった。
唯月が少し脅え気味だったので庇うようにして律希が立ちはだかる。
「へぇー、人のこと失敗作だって言っておきながらお前も失敗作を創ってるんじゃねーか」
黒い髪の男があざけ笑うように律希を見下し、暴言を吐く。
男から見て失敗作という基準は人型でありながら耳やら尻尾やらがある点だろう。
「律希は失敗作じゃない!」
「律希というのですか。あなたがマスターならメンテナンスをしたほうがいいですよ。能力の核にちょっとしたひびが入っていますから」
「なっ・・・・・・なんでそんなこと・・・・・・」
唯月は信じられないという顔で白い髪の男を見た。
「見えもしないことだろ。何で俺の能力の核にひびがあるってわかるんだよ!答えろよ、何者だ!」
律希自身にも能力の核にひびがあるなんて知らない。
だからこそ、信じられなかったのだ。
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