オリジナル小説 完結

□GROW9 迷宮
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表のパーティーとはうって変わり、裏庭は少しの騒ぎも聞こえないほど静まり返っていた。
「何を喋るつもりですか?場合によってはここで処刑ですけど」
白龍が白の外壁にもたれながら恐ろしい言葉を口にした。
「お前達にとってどの程度がタブーなのかわからないが、たいしたことではない。文献やら探ってみたがお前達のことについては一言も記されていなかった。私の知識は王の言葉だ」
「兄貴の知ってること聞かせてくれ」
「わかった」
緊張した面持ちで黒蘭は嵐斗の話を聞く。
「何年か前に初めて創成師を名乗った男がこいつらを創ったそうだ。目的は・・・・・・兵器として・・・・・・」
「兵器?」
「そうだ。だいたいのグローというのは創成師と同じくらいの力を持つか、もしくはそれ以下かだ。だが、男が創ったグローは違った。創成師をはるかに凌ぐ力を身につけたグローだ」
「それが白龍と黒龍・・・・・・」
あらためて黒蘭は白龍の顔をまじまじと見た。
「自分よりはるかに力を凌ぐグローを創るにはその二体が限界だった男はほかのグローに比べ、マスターだけに強い忠誠心を植え付けるシステムを組み込んだそうだ。そして、兵器として完成させたこいつらに男は何をさせたと思う?」
ほかのグローに比べて人間ではなく、創ってくれたマスターに高い忠誠心を抱くのは弱い自分が殺されないためだ。
強いマスターならいい。もし謀反を起こされても自分でどうにかできるから。でも、弱かったら・・・・・・逆らわれたらどうしようもない。
「兵器・・・・・・っていったら・・・・・・でも、そんな大規模なことできるように見えないしな・・・・・・」
 黒蘭は考えられる可能性を頭に思い浮かべた。
「黒蘭、お前の今考えていることが正解だ。男は国に脅しをかけ、恐怖で人を支配するためにこいつらに大陸を一つ破壊させたんだ」
大陸一つを破壊?
一瞬黒蘭の思考は真っ白になった。
「そんなことできるわけない!グローの力にそんな大陸一つ破壊できる能力なんてありはしない・・・・・・」
「当時、大陸が二つあったという時代はこいつらに破壊される前の時代だ」
 ほんの二十年か、三十年前の話だ。
国が三つも四つもある大陸がたった二人のグローによって破壊された。
それは事実のようで白龍は平然として、黒蘭の顔を見ていた。
「それで男は・・・・・・?」
「このライゼン国の専属創成師となり、影で国を支配していたそうだ。私が知っていることはそれだけだ」
「今までの話、少しだけ間違っている所があります」
「なんだと?」
「王など詳しいことを知らなくて当然ですが、私達はただの兵器ではありませんよ」
「グローは元々兵器として名の付いたものだ。お前達は度が過ぎているだけで、それ以外の何がある?」
「あなたには関係ないことです」
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