鬼灯の冷徹
□にゃんと恩返し!
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翌日の朝、猫とは違う温かさと質感があった。
「ん…?」
寝ぼけ眼で、昨夜猫がいたところを見ると…
切れ長の瞳に漆黒で艶のある黒髪の…大人びた裸の少女が寝ていた。
僕は混乱していた。
女性は好きだが、女性と寝た覚えは無いし、猫がいなくなっていた。
と…考えると、昨夜の仔猫=この美少女ということになる。
「ぅん…」
ころりと寝返りを打つと、そこには丁度いいサイズの双丘…美乳があった。
僕は至って健全な大学生。
睡眠欲も食欲も、もちろん性欲だってある。
しかし、相手は少女。であるから、手を出してしまうのは些か罪悪感がある。
「ぉ…おはよ…」
恐るおそる声を掛けると、二重のぱっちりした瞳を開いて…
「ご主人様…」
きゅん…
自分をご主人様と呼んでもらえ、僕の心臓に突き刺さった。
しかし、
「ご主人様…あなたもまた、私を抱くのですか…?」
「え…?」
「私を…抱きたいですか…?」
泣きそうな顔で聞いてきた。
僕は、捨てられたのが初めてではないことを悟った。
きっと今までの飼い主たちが、この仔を拾い、人間へ変化出来ることを知り、性欲処理の対象としていたのだろうと感じた。
そう思うと、辛くなってしまった。
もっと早く救えたら―もっと早く見つけていたら―もっと早く…もっと早く…
そんなことを思うと、体が勝手に彼女を抱き締めていた。
「ご主人様…?」
「ごめんな…もっと早く救えたら…良かったのに…」
「私は…私は、平気ですから…」
「もう、甘えていいんだよ?僕は君の飼い主じゃない。彼氏、としてならどうかな?」
「ふふ…正式な家族になったら、致すということですね?」
彼女は柔らかく微笑んで、抱き締め返してくれた。
「僕は白澤。君は?」
「私自身は色々な名を付けられてきましたが、気に入ってるのは加ヶ知と言う名です」
「なら、鬼灯!鬼灯にしよ!」
「鬼灯…良い名をありがとうございます」
「なぁ、鬼灯…」
「はい?」
服を着てくれ…
僕は今まで付き合ったどんな彼女よりも可愛く、愛しい彼女を手に入れた。
◇◆◇◆
やいこら、やいこら
僕は説教を受けています。
愛しの彼女に。
彼女は聞いたところ、僕と同じくらいの年であったし、頭脳明晰でもあった。
同じ大学に編入学ということになり、周りとはみるみる打ち解けていった。
僕の彼女だと紹介すると、鬼灯は顔を真っ赤にしてぶん殴ってきた。
家に帰ると猫の容姿になり、壁で爪を研ぎまくり、僕を研ぎたての爪で引っ掻いてきた。
僕は今まで以上に変態になってしまったようで、こんなことをされても、萌えるのだった。