鬼灯の冷徹
□好きなんです
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ガラガラ
「ご機嫌麗しゅう、白豚さん」
「やあ、いらっしゃぁい?一本角さぁん」
まぁ、言わずもがな…この二人は如何せん仲が悪い。
元凶は神獣である白澤なのだが、その厄介の原因から鬼灯は敵として認識していた。
「いらっしゃいませ、鬼灯さん。今日は珍しく扉を壊さなかったんですね?」
「えぇ。たまには普通に入ってきて、思いっきり罵倒しようという魂胆です…いや、でした」
「罵倒すんなよ!僕、神獣なんだからね!?」
相変わらず罵り、殴りのいかにも幼稚な喧嘩である。
二人の間には桃太郎がいるが、その存在を切り裂くが如く火花が散っている。
桃太郎は正直この空間が得意ではない。
理由は簡単で、ただ怖い、に尽きるのである。
白澤は部類の女好きで店に男なんて入れたくない主義で、鬼灯はワーカーホリック且つそのカガチのような目の鋭さを併せ持っているため、威圧感は底知れない。
そんな二人の間にいる桃太郎としては、居たたまれない…と言うより、圧に押し潰されそうだったのだ。
「あ、あの白澤様。お、ぉれ、芝刈り行ってきますね!」
「謝謝。さすが気の利く弟子だねー!」
「お気をつけて」
先に口を開いたのは、白澤の方だった。
「ねぇ、なんで今日扉壊さなかっ…!」
ぎゅぅっ…
「たまにはいいでしょう?」
ごろん、と鬼灯は白澤の膝に寝転がった。
めったに鬼灯からは甘えないため、白澤はびっくりしていた。
ぐいっ!
ちゅっ…
「…っ!///」
鬼灯は白澤のピアスの房を引っ張り、口付けをした。
「誘ったのはお前だからな!」
「はて?啼くのは、あなたか私か…どちらでしょうねぇ?」
そして…また、甘い口付けを交わした。
どちらともなく情も交わした。
愛を交わした。
「「腰、痛いんだけど!?/痛いんですけど!?」」