ながいはなし

□謝罪 第二章
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「白澤さんっ…!」
「どうしたの…?」

今日初めて出会ったばかりでお互いによく知らない相手。
しかし、二人とも不思議とどこか合っていて、どこか嫌い合っている。そんな仲になるように感じていた。

だから白澤はあの光景を見て涙を流した。
だから鬼灯はあの光景を見せてしまったために追いかけた。

二人とも、一人によって壊された。
一つ一つに別れたピース。それもまた、バラバラに砕かれた。
修復が難しい程に。

「お前…そういう関係?ってか趣味?」
「違います!」
「じゃあ何?」
「会長と副会長。それだけです」
「良く言うよ。見せつけといて…!」

再び走り出した白澤を鬼灯は追いかけずに、綺麗な背中を眺めていた。
やがてそれが見えなくなると、壁に自らの背中を預けて…静かに一人で泣いた…

それを見て、怪しく微笑む悪魔がいた。

「白澤さんっ…白澤さんっ…ごめんなさい…私は、不甲斐ない…会長ですね…ごめんなさい…」

なぁ、鬼灯

バッ…

「あ…おぃ…さん…」
「そんなにあいつが大事?」
「生徒は皆等しく、ですから…」
「お前は…お前は俺のっ…!」

パァーンッ!

軽快な音。
と、同時に葵はよろめいた。

「いい加減にしなさい!バカ葵っ!!」
「蓮華っ…?」
「蓮華さん…」
「会長様の道は会長様が決めるの!決してあんたが決めるんじゃないの!」
「転校生は鬼灯に絡む。絶対に。もし、それで仕事を疎かにしたらどうなるっ!?」
「そんなことしないわ!」
「言い争いはやめましょう。私も気を付けます…」

そう言って去っていく鬼灯を悲しそうな目で蓮華は見ていた。


「会長…ごめんなさい…逃げちゃった…」
「私こそ申し訳ありません…」
「会長っ…!」

屋上で泣いていた白澤のもとに鬼灯は静かに現れた。
くすり、と白澤は笑って…

「会長っ!」
「はいっ…!」
「これからも、一人の生徒としてよろしくね!鬼灯会長っ!」
「改めて…こちらこそよろしくお願いします。白澤さん…」

二人は薄く微笑んだ。
ピースは一つ一つ。でも、原型を取り戻した。
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