Main【日和】
□いつもより
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いつもより寒いーーー
そんな大学が休みの日、閻魔は太子の家に遊びにいっていた。
「太子いいいい、ひまひまひまひまあああああああああああ!!」
「ああ、もう!うるさいでおま!論文書いてる途中なの!
たこ焼き味の棒アイスでも食べてんしゃい!」
「こんな寒い日にアイスなんて食べてられると思う?!」
「閻魔は体温ないだろ」
「ぐっ....」
ここまで即答して答えられると反論のしようがない、
体温ないのは確かなのだから。
現代であっても閻魔は閻魔。
地獄の神には変わりない。
ところで太子が眼鏡をしているのを見るのは久々である。
高校の時はよく見ていたが大学では学部が違うので中々見る機会がない。
眼鏡をかけた太子はいつもより大人びて見える。
眼鏡越しに、太子の少し垂れた目でキッと睨まれると、どうにもぞくっとするようで、自分は変態ではない!と一々律するのも何度目だろう。
ああ、構って欲しい。
その眼鏡越しから見つめられたい。
せっかくの休みなのだから恋人らしく甘々いちゃいちゃ過ごしたいのである。
閻魔はそろそろと太子の後ろに回りこみ耳に息を吹きかける。
、、、無反応
次に眼鏡の柄をツンツンとつついてみる。
、、、無反応
あああ!もうなんだよつまんない!なんか反応しろよ!
ここまで無視だと逆にどこまでしたら反応を見せてくれるのか、
試してみたくなるのが人間の性である。
、、、人間じゃないけど。
髪を撫でても無反応、服を引っ張っても無反応....
次に首すじを舐めてみる
無反応、、、と思って半泣きになりそうになった瞬間
顎をグッと引き寄せられた先に
ふと唇に柔らかいものが重なった。
「えっ、、、?」
自分の頬がみるみる熱を孕んでくるのが感じられる。
「後15分もすれば、、終わるから。
そしたら思う存分構ってやろう。」
そんな太子の顔も心なしか少し赤くみえた。
「もしかして、首すじ舐められたの感じちゃった?」
「うるさい、違うわ!」
いつも余裕ぶって俺を軽くあしらう太子が、珍しく照れていた。
そんな事実がいつもより嬉しくて愛しい。
しょうがない、後15分たこ焼き味の棒アイスでも食べて待ってやろうかな。
(閻魔め!後で閻魔に同じこと返してやる....!)
そんなことを思って少しにやけ顔の太子はいつもより早く文字を書き進めるのであった。