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□旅先は…
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「めいり!いくよー!!」

「かかってこい!」

私はめいり。

今日は家族で旅行に来ている。

ここはなんと…あの憧れたハワイ!

…ではないけれど、海の綺麗な所。

場所は…母が言ってたけど綺麗な海しか頭に無かったから忘れた。


「めいりー!今度はさ、どっちが長く水ん中いられるか勝負しよーぜ!」

この、姉である私を呼び捨てにするのは弟のたいち。

さっきまでボールで遊んでたのにもう飽きたか。



サッカー部のこいつは、頭悪いくせに身長だけは私を抜かしている。

本当、抜かされた当時はムカついたが…


ほら、人って中身だろう?


と言って自分を励ましてはいる次第…です…。



「いいよ?多分私が勝つけど。」

私は快く了解した。

水泳をスイミングスクールで習ってるから負けるなんてことありえないっしょ。

「んなことやってみなきゃわかんねーだろ!!」

たいちも、サッカーやってるから侮れないんだけどね…。

「ハイハイ…。じゃあ、いくよ?」

私は3カウントして、海の中に潜った。



潜り始めてから30秒。

まだいけるなぁー、と思ってたらたいちがもがきはじめた。

お前…早すぎるだろ。

私はたいちに格のちがいってものを見せつけるためにもうしばらく潜っていようと思った。

たいちが水面に顔を出した時に、周りが暗くなっていった。

太陽が雲に隠れたのかな?

始めはそう思ったが…だんだん暗くなっていく周りに異変を感じて水面に顔を出した。



目の前にあるのは


10mはありそうな波


何で…!!

さっきまですごい穏やかな海だったのに!!

圧倒的なその高さに驚いていたら、たいちが肩を叩いた。

「めいり!逃げるぞ!!」

はっとして、私達は岸へ逃げ始める。

しかし、波の引きが強く、なかなか岸へたどり着けない。

私はたいちにさっきまで遊んでいたビーチボールを持たせた。

「おい!自分だけ助かるのか!?」

「違う!!もう逃れられないからあんたに浮き具渡したの!!」

あまり怒らない私に少し驚いたたいち。

しかし、すぐに困惑の表情をした。

「でも…めいりはどうすんだよ!!」

「私は大丈夫。あんたより泳げるしバカじゃないから。」

こんな波、助かる気はしない。

けど、たいちに言う言葉はこれしか考えつかなかった。

波と対峙する。

「息すって!!」
胸一杯に息をすうと、私達は波に飲み込まれた。

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