NOVEL
□狼さんに気をつけて!
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そして解決策も見つからず、そのまま編入日当日…。
「制服も男の子のしか用意してないのよ、ごめんなさいね」
「いえ、男子寮に入寮するなら…どちらにしろ女子の制服は着れませんし」
近藤さんが先に制服を用意してくれるらしいと父に言われていたので、事前に身長と服のサイズを伝えていた薫と千鶴。
渡され直ぐに袖を通した制服は、ピッタリだった。
髪は清潔感のある黒であれば、男女共に長さに指定が無いのは、唯一救いと言えるだろう。
「さて、と…」
一通り準備を終えて、千鶴はリビングのソファーで携帯を眺めていた薫に視線をやった。
そしてゆっくり近付き「薫、行こう?」と声をかければ顔をあげて携帯をポケットにしまう薫。
「いってまいります」
そして薫と千鶴の二人は、近藤さんの奥さんに見送られながら、先に学園に向かった近藤さんの後を追うように、駅へと向った。
……………
「…わぁ、広い。ここ全部この学園の敷地なのかな??」
そして電車を乗り継ぎ辿り着いたのは、これから二人が通う事になる私立薄桜学園校門前。
そこから見える学園の敷地内は、他の高校とは比べものにならないくらいの広さを誇っているのだろう、目を凝らしても両端が見えなかった。
「学園の敷地内に全生徒の為の寮を立ててるからだろ」
薫はそう素っ気なく返しながら、ズンズンと足を進めて行く。
そして目まぐるしく一日は過ぎ去り、その日の夕方ー…
薫と千鶴の二人は、男子生徒の住まう男子寮へと案内されたのだった。
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