NOVEL

□狼さんに気をつけて!
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「あんた達の荷物は既に部屋に運び込まれているから、同室の人間に聞きながらでも片付けてくれ」


寮長である三年の斎藤一に寮内を案内してもらいながら、千鶴はキョロキョロと辺りを見渡す。


「さて、此処が雪村千鶴の部屋になる。本来ならば同室の人間は同学年の人間と定められているのだが…。何分空きが無いものでな、あんた達の同室の人間が卒業するまでの一年間だけ我慢してくれ。」


手に持っていたうち、一つの鍵を手渡して斎藤がため息交じりに言った。
彼の口ぶりからして同室の人間が三年だというのが分かる。

おそらく斎藤は彼等が犬猿の仲なのも知っているのだろう。



「門限や禁止事項は部屋入口の内側のドアに貼ってあるので目を通しておくと良い。…何か質問は?」

「いえ、大丈夫です。」

「そうか、何かあったら同室の総司か、もしくは右隣りが俺と藤堂という男が部屋を使っているから、遠慮無くなんでも聞くと良い。ではな」

「千鶴、後で電話するから!」

薫を部屋まで案内すべく歩き始める斎藤に「ありがとうございます」と頭を下げ、心配そうに言って振り返る薫に千鶴は笑んで手を小さく降った。


「……さて、と」


二人の後ろ姿が階段に消えたのを確認して、千鶴は自室のドアに手をかけた。
鍵が空いてるのを見る限り、同室の人間はいるのだろう。

千鶴は鍵をバックにしまって、インターホンらしき物は無い事を確認してからドアを三回ノックした。



数分してから、ユックリと開くドア。

そこから顔を出したのは
顔の整った綺麗な顔立ちの少年だった。



思わずドキッと高鳴る胸を誤魔化しつつ、ぺこりと頭を下げる千鶴。




「初めまして。今日からお世話になります、一年の雪村千鶴と申します。」




それが、沖田との所見だった。




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