NOVEL
□狼さんに気をつけて!
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「………へぇ…」
千鶴が挨拶をした後。
マジマジと見られていることが不思議だった千鶴は「…ぁの……?」と、首を傾げた。
「あぁ、何でも無いから気にしないで良いよ。…それより疲れたでしょう、中へどうぞ?」
千鶴と同室であるその少年は沖田と名乗り、自分の自己紹介をしながら千鶴を部屋に招き入れた。
「わぁ…」
沖田に案内された部屋は予想していたよりも広く清潔感があり、千鶴は思わず感嘆の声をあげる。
沖田はそんな千鶴の様子を気にすること無く、捲し立てるように簡単な説明をし始めた。
「朝食と夕食は寮の食堂で18時〜20時。お風呂は一応一階に大浴場があって入浴時間は18時〜21時30分。もしくは各部屋にシャワーと洗面台だけなら完備されてるから、そっち使っても大丈夫。それと、君のベットと机、クローゼットは右側だから宜しく。」
ーー僕からは以上だけど、何か質問ある?
ボフッと部屋の左側に位置する自分のベットに腰掛け沖田が千鶴を見やれば、千鶴は「大丈夫です」と、首を横にふった。
………………
「君、お風呂は?」
19時を回った頃。
夕食を終えた沖田と千鶴は、部屋に戻ってきていた。
千鶴は夕食ではすれ違いになってしまった薫におやすみのメールを送った所だったらしく、パタンと携帯を閉じたところだ。
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