ハンター夢出会い〜試験前編

□異世界旅行四日目
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四日目(午前の部)


















「おはよ★」

「おはよう」

「はよ〜」

朝のトイレ争奪戦、洗面所争奪戦をしながら挨拶を交わす

2人ともホテルのパジャマ着てるんだけど

なんか似合わないわね

浴衣は似合ってたのに

不思議

「朝食摂ったら出かけるかい?」

「えぇ、そうしましょ〜」

朝ごはん何かしら?

「朝食はパンとポタージュとサラダだってさ」

「そうなの、あら?」

私口に出してたかしら?

「朝食が何か気になってたんだろ?」

「そうだけど」

「そんな気がした。」

「そう」

心を読まれるのってなんだかいい気分がしないわね

今度からもう少しご飯のこと考えるのは我慢しましょ

「さ、準備はできたかい?★」

「ちょっと待って」

貴金属入れから昨日の戦利品を取り出す

「換金しなくっちゃ」

「あとで取りにきたら?」

「また来るの面倒なんだもの」

煩くないように術も施したし大丈夫でしょ

「それじゃあ鍵かけるよ☆」

「は〜い」

ヒソカさんが鍵をかけるとエレベーターに向かった












「朝からにぎやかね〜」

ホテルの外に出るとまず向かったのは図書館ではなくて

ザパン市一番の市場

「はやく選んではやく食べてくれる?人ごみうざい」

いきなり不機嫌になったイルミを無視していろんなお店のものを買い食い中

だって朝食がアレじゃ私の胃袋満たせないわよ

「サリー、これもおいしいよ☆」

単独行動するかと思ったけどヒソカさんもイルミもついてきてくれて

ヒソカさんに至っては美味しいものを見つけると半分わけてくれる

退屈だから☆とか言ってどこか行くかと思ったのだけど

本当にこの人の行動は読めないわ

「ありがとう、ヒソカさん。これも美味しいから半分こしましょ」

米粉パンというものをゲットしたので

もちもち感を楽しんでもらおうと半分分ける

「ありがと☆やわらかくて美味しいねv」

「そうでしょ?」

2人でのほほんとしていると

手に持っていたパンとヒソカさんにもらったカラアゲが消える

「え???」

「確かに美味い」

大きく膨らんだ頬をもごもごしながら

イルミがつぶやく

手にはパンとカラアゲ

「まだ一口しかたべてないのに!!返しなさいよ!」

取り返そうと近づくと

残りを全部口に放り込んだ

「ごちそうさま」

口元だけニコリと笑う

イルミに殺意が湧くのは二度目だけど

前回よりも酷いわ

「私が買ったのに、私がもらったのに・・・」

「次何食べるの?」

人ごみうざいとか言いながら

私よりもヒソカさんよりも食べ歩きを楽しんだのは

絶対にイルミだった








「サリー」

「なに・・・?」

イルミに取られたのがよっぽどショックだったんだろうね

完全に落ち込んじゃってるのも可哀想だから

駄菓子屋で見つけた懐かしいお菓子をプレゼントした

「バンジーガム?」

「お菓子でよければあげるよ。」

「いいのかしら?」

「うん☆自分の分も買ったからねv」

「じゃあ遠慮なく。ありがとう」

また嬉しそうに笑う

パンを半分こした時よりも嬉しそうだ

お菓子も好きでよかった

「あ」

あ〜・・・また盗られた

「サリーとろすぎ」

「ていうよりキミさっきからちょっかい出しすぎだろ☆」

「だって」

イルミが何か言おうとすると

サリーがイルミからバンジーガムを取り返した

「へ?」

「イルミもとろいわね。」

フッと鼻で笑って

ケースから取り出したガムを口に放り込んだ

「あ、美味しい」

幸せそうにほっぺを抑える

「思ったより素早いね」

「あら、ちょっと早く動いただけよ?」

「体に似合わ」

重い、そうヘビー級のパンチの音が聞こえた

聞こえはしたんだ

でも見えないうちにイルミがお腹を押さえて地面にうずくまっていた

「いい加減にしないと殴るわよ。」

「殴ってから言うな・・・」

彼女のことは怒らせないようにしないとね☆












「広いわね〜」

図書館に入りすぐの階段を降りるとそこは本の森が広がっていた

「こんなにあったら一週間じゃ足りないわね!」

盗賊いびりの時とは違う嬉しそうな足取りで本棚へ駆けていく

人は数えきれるほどしかいないけど

一応静かにしとかないとね

「まずは やっぱり地図よね。」

自分でも持ってるのに?というツッコミは入れないでおこう

普通の本の5倍大きい本を取ると近くの机の上に置き広げ

その隣に自分の地図を広げた

俺も一緒に覗き込む

サリーは気にもせずに自分の地図に俺たちとは違う国の文字で書きこんでいく

かなり手際がいい

「慣れてるね。」

「いっつも新しい場所に行くと調べないと気が済まないのよ。」

地図から目を離さずに俺の質問に答えると

すぐに書き込みが終了して

「今度は言語、いえ、生物も捨てがたいわね。」

大きな本を棚に戻し

しばらく悩んだあと

両方とも持ってきた

欲張りだな

「こっちの言語は覚えたんだろ☆」

「えぇ、でもまだ知らないことって絶対あるから

あと動物のことは知っておかないとね。」

両方を同時に開いてパラパラとめくっていく

「へえ。」

ふむふむ、とか言ってるけど本当に理解してんのかな

「あ、このドラゴン盗賊のアジトにいたやつじゃない?」

黒い一本角の竜を指さす

蝙蝠竜(通称コモリ)

蝙蝠のように母乳を与える哺乳類系の竜で

子守りは雄と雌が交代でするらしい

愛情深い竜だとか

「似てるね。」

「きっとコイツよ。保護竜に指定されてるのね。」

殺してたら幻獣ハンターに追い回されてたかも

「それにしても言語はわかるけどさ動物はなんでそんなに詳しく調べるの?」

「食料確保。」

「なるほど」

「できるだけいろんなところに分布してるのを覚えておくのがベストよ。

狩っていいやつをね。あと植物も大事よ。食べられる野草や薬草の知識は持っておかないと。」

「あァ、それなら結構叩き込まれた。」

「叩き込まれた?」

「両親とじいちゃんにね」

「素敵なご家族ね。」

「そう?」

「えぇ、無一文になっても野生で生きて行けるような知識を与えてくれるなんて素敵よ!」

そうなんだろうけど

あんな厳しい教え方された身としては

あんまり優しい思い出ではないな

「私も両親のおかげで詳しくなったんだけどね。」

何処か遠い目をしたサリーの目が一瞬死んだ魚のように濁った気がしたけど気のせいだ

「さてと、次は何にしようかしら。」

もう読み終わったらしい

っていうかしゃべりながら見てただけだろ

絶対覚えてないと思う

「世界の盗賊辞典とかあるけど」

ヒソカへの嫌がらせもかねて差し出すと

「なにそれ面白そうね。」

盗賊好きが思った通りに食いついた

「世界の殺し屋辞典っていうのもあるよ☆」

仕返しはすぐにあった

「あらそっちも面白そう。」

両方受け取るのか

「盗賊の分布図ってわけではないのね。残念。

殺し屋も昔のことばっかりだから×」

今活動してるやつらのことなんか書くわけないだろう

てか分布図ってなに

盗賊も動物みたいに捕食対象なのか?

「まあいいわ。あとは・・・」

宗教関係の本を速攻で開いて

一通り目を通すと本棚に戻す

という作業を開始したので

俺も暇になったからそこら辺の本を読むことにした









「あ、ちょっとお手洗い行ってくるわね。」

「うん」

「いってらっしゃい☆」

そう見送ったのが間違いだったよ

うん

10分しても戻ってこないから

不安になって探しに行こうかってイルミに言ったんだけど

「う○こじゃないの。」

よっぽど謎の生き物図鑑が面白いのか目を離さずに言うから

ちょっとイラッときたけど1人で探すことにしたんだ

外に出ようとしたら建物が震えるほどの爆音が聞こえた

扉がガラスだったからすぐに見えたよ

真っ赤に燃えてる謎の生き物

とすぐそばに倒れているサリーが

っていうか赤い生き物に踏み潰されてるんだけど

「あれ生きてるのかな」

「無事ではなさそうだね★」

何がどうなったのかわからないけど

サリーがピンチなのはわかったよ

助けるべきかな

でもなんだかおもしろそうな相手ではないんだよね

見るのは面白いけど戦うのは別

取りあえずボクもイルミも傍観することにした

生きてるのは手足がじたばたしてるからわかったし

なんか叫んでるのも聞こえたんだよ

その声に辛さはないからさ

別にいいかなーって

いや本当大丈夫そうなんだよ

面倒くさいわけじゃないさ

つまんないことはしない主義なだけさ★
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