ハンター夢出会い〜試験前編

□異世界旅行九日目・十日目
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九日目

















「元に戻ってよかったね。」

昨日アフロと化していたオレンジの髪をヒソカの指先が絡めとる

「ありがと。」

リンゴの皮を剥きながら微笑む

「魔術かい?」

「いいえ、イルミのリンスを借りたの。」

「なるほど」

ヒソカが知る中でも5本の指に入るほど

美しい髪の人間

彼が使っているリンスは超がつくほどの高級品だ

念も籠っているらしいので火でコントのように焦げたアフロ程度なら治してしまうだろう

むしろ以前よりもきれいになっている

そのせいで手触りの良さに興味本位で触れた指から髪をほどけないでいる

「はい、ヒソカさん。」

ウサギ型に切られたリンゴを差し出され

「ありがと☆」

それを受け取るのを理由にやっと髪を手放す

口に含んだ果実はシャリシャリと軽い歯ごたえのあと

蜜の芳醇な香りを放った

「美味しい」

素直に漏らした言葉に

「そうでしょ、市場で見つけてきたのよ」

自慢げに言うと

残りのリンゴは小さく刻んで

ケーキの型の中へ

「美味しいアップルケーキができるわよ」

「あ、ボク焼いたリンゴは食べないよ☆」

「え!?」

「酢豚に入ってるパインも許さない。」

「そ、そう。」

さっきの明るさは何処へやら

落ち込んだ様子でオーブンにケーキを入れるサリーを眺め

『まずいことでも言ったかな?』

めずらしく不安になるヒソカだった








「ただいま。」

「お帰りなさい。イルミ」

「おかえり☆」

仕事を終えて帰宅したイルミを2人と甘いケーキの香りが出迎えた

「いい匂いだね。」

「アップルケーキよ。おやつにしましょ。」

「うん」

イルミが席につくと焼き立てのケーキがテーブルの中央に置かれる

「イルミは焼いたリンゴ大丈夫なのね」

「俺嫌いなものないよ。」

「ヒソカさんはダメって言ってるから2人で食べちゃいましょ。」

「うん、じゃあヒソカはこれでも食べてなよ。」

ポケットから取り出した赤いケースをヒソカの前に置く

白い文字でスコンブと書かれていた

「いらないよ。」

「まあまあ遠慮しないで。俺はこっちがあるからさ」

「どこで買ってきたんだい?」

「依頼人の知り合いらしい女の子にもらった」

「そう・・・」

ため息をつきスコンブを一応バッグになおした

「すごく美味しいよ。」

「ありがとう」

あまり人を褒めないはずの友人の言葉にヒソカは目を丸くした

「また今度作ってよ。」

「美味しいリンゴが手に入ったらね。」

仲良さそうに話す2人の約束に

「ボクはシャーベットが食べたいな◆」

と水を差してみる

「あ、それもいいわね。」

作る本人は乗り気だが

「寒いのに?」

いかなる苦痛にもなれているはずの暗殺者は眉をひそめた

「イルミには寒さなんて関係ないだろ☆」

「勘違いしないでくれる?我慢できるだけだよ。」

「ソフトクリームにアッブルパイを入れたら美味しそうね。」

「「え???」」

「明日にでも作ってみるわ。」

シャーベットもケーキもぶち壊して

サリーは幸せそうに微笑んだ
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