ハンター夢出会い〜試験前編

□異世界旅行は突然に!?
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数時間後私は別の街で宿を借りてベッドに倒れ込んでいた

「なんでよぉぉぉ」

怒りのままベッドの上で枕に顔をおしつけて叫ぶ

ほら、他のお客さんの迷惑になるから

村から空を飛んで出てみた

そして地図を開いてまた絶句

さっきとまったく状況は変わっていなかった

お家どころじゃない

国にすら帰れなくなってしまったのよ!

昔文献で読んだ

異世界に続く門とやらをくぐってしまったとかなら

まだ理解して心にうけとめてこの世界で生きる覚悟もできる

でもちょっと不思議な噂があるだけで

他はどことも変わらない村に上空からお邪魔しただけで

なんで大陸どころか世界が変わってるんだよわけわかんねーよ

って乱暴な言葉使っちゃダメよね

こんなときこそ落ち着かないと

(ちなみに数時間でこの街についたのは

レイウィングという空を駆ける魔法を使ったからです)

でもやっぱり精神的にくるものがあるわ
一人旅だから猶更つらい

突然犬の唸り声のような音がお腹から響いた

迷子になろうがふさぎ込んでいようがお腹はすくのね

たしか晩御飯付だったからそろそろ時間だし降りてみましょ

マントと食料袋はそのままに部屋を出た途端

イベントが発生した

「うわあぁ!!」

「キャー!」

宿のおっさんとお嬢さんの悲鳴

「さっさと金を出せ!!」

とあきらかに悪役の怒号が聞こえる

静かに階段を降りて受付を見る

覆面もつけずに堂々と強盗をする男と人質にとられたお嬢さん

レジのあるカウンターで慌てふためくおっさんのが見えた

「わかった!娘を離してくれ!」

おっさんがあわてながらお金を袋につめているのをみて止まった

そうよね

世界を超えちゃったんだから

お金も違うわよね

私って馬鹿だわ

アホの子だわ

とりあえず2階にある部屋の番号が書かれた板が頑丈そうだったので

そこに捕まり空中ブランコの方法で足から強盗の後頭部へ挨拶した






「ありがとうございます!本当にありがとうございます!!!」

「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。」

警察とかいう街の治安を守る人たちに強盗を引き渡し終えると

おっさんとお嬢さんに何度も感謝された

「なんとお礼を言ったらいいか・・・」

「じゃ、じゃあ・・・あの」

お金がないんだもの

しかたないわよね

「はい?」

「今晩の宿代タダにしてもらえませんか?」

自分からこんなことをいう日がきてしまうなんて

「はい!そんなことでいいのなら喜んで」

おっさんは豪快に笑う

「すぐに晩御飯も準備しますね」

お嬢さんはおっさんに似ず愛らしい笑顔で食堂の方へ走って行った

「素敵なお嬢さんですね。」

よっぽど奥さんがきれいだったんだろう

とは言えないわ

「え、えぇ、そうでしょう!死んだ妻にそっくりで!」

ぎこちない笑顔

まさか血の繋がってない娘とか

そういうドラマチックなストーリーでもあるのかしら?

聞いてみちゃおうかしら

なんて考えていると

扉についた来客を知らせる鐘がなる

「や、ひさしぶり、部屋は空いてるかい?」

入ってきたのは珍しいメイク+めずらしい青い髪をした男性と

黒い髪を腰まで伸ばした無表情な男性

青い髪ってこちらじゃ普通なのかしら?

っていうか2人とも少し服が汚れてるし

怪我してるわね

まあ回復系の魔術なんてしたら驚かれるだろうからしないけど

「ああ、お久しぶりです!空いてますよ!どうぞどうぞ」

おっさんは嬉しそうに2人に対応する

黒髪の彼は無言でなんだかお人形さんみたい

「ありがとう★」

青い髪の人は狐のような目でニコっと笑う

でもどこか友好的な印象はうけない

「・・・ボクの顔になにかついてるかい?」

マジマジと見すぎて視線に気づかれてしまった

おっさんへ向けた笑顔は綺麗に消えて

こちらにギロリと視線を向ける

たぶん睨まれたとかではないのだけど

久々にゾクリとした

「ごめんなさい、初めてみる服装だったから気になってしまって」

青い髪と狐のような目、それ以外に特徴的なのはその服装だったのよね

なんだか道化師のような姿

「あァ、それでか◇」

「だからその格好で宿に入るのはやめようって言ったんだよ・・・」

一瞬誰の声かわからなかった

おっさんでも私でも道化師の彼でもない声

「仕方ないじゃないか。この街で一番信頼できるのはココなんだから☆」

「貸切にできないの?」

ああ、人形ではなかったらしい

真っ黒な目で宿をキョロキョロ見渡しながら告げる

「そんなことしたらここに泊まる意味ないだろ◆」

どんな意味で泊まるのかしら

不思議な会話だとは思ったけど

「サリーさん、晩御飯の準備ができましたよ〜」

ハートをまき散らすいきおいで走ってくるお嬢さん

私の前にくる直前で躓いてこけそうになるのを受け止めた

「大丈夫?」

「ご、ごめんなさい」

顔を真っ赤にして私をみあげる

フワフワした髪

旅をしてるとどうしても髪があれちゃうからうらやましいわ

「ごめんなさいね、疲れてるのに晩御飯を催促してしまって」

あんな怖い目にあったのに

懸命に準備をしてくれた彼女にもうしわけなくなった

「いえ、私ができるお礼なんてこのくらいしか・・・」

もじもじする仕草も可愛らしい

けどそのしぐさもカウンターにいる彼をみてピタッと

本当に面白いくらいピタっと止まった

「ひ、ヒソカさん?」

「や、ひさしぶり。クリス☆」

「どうも・・・さあ、サリーさん食堂に行きましょ!」

「へ!?」

突然お嬢さんの手が私の手を掴んだため

食堂へ連行された
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