ハンター夢出会い〜試験前編

□異世界旅行四日目
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四日目(午後の部)






陽が沈む頃

ボクたちはザパン市からすこし離れた場所にいた

森の中にたたずむ一軒の家

誰かが住んでいたとかそういうものではない

「このくらいでいいかしら?」

建築した本人の顔には少し疲労の色が見える

だからといって可哀想だとかは思わない

こうなったのは彼女が謎生物を具現化してしまったのが原因だからね★

ボクとイルミはホテルにいてもいいんだけど

彼女何しでかすかわからないし

試験を受けるところまでは見守りたいんだ

美味しく実りそうだし

「いいんじゃない。3人・・・と一頭で少し住むだけだし」

彼女が出す火の玉といい後ろに立つ謎の生き物、そして建物といい

彼女放出系と具現化系って感じだね

系統的には対極の位置にあるんだけど特質系もありえるな

念をしらないのが不思議でしょうがない

「中どうなってるのかしら?」

「自分で建てたのにわからないの?」

「私は外側考えただけだもの。」

万能ってわけではないみたいだね

「開けるよ★」

木製の扉をあけて中に入る

すぐにリビングがあり

奥は台所らしい

おや灯りがないけど彼女気付いてるんだろうか

「あら、普通にできてるわね。」

気付いてないね
覗き込むだけでまだ入ってこないし

「今までどんなのができてたんだよ。」

同じく気づいてないイルミの言葉でなんともいえない表情を浮かべ

「まあとりあえず中に入りましょう。」

と家の中へ入ってくる

警戒心丸出しで中に入ってきたけど

「大丈夫そうね。」

中の様子を一通りみてまわると警戒を解いた

「家具はないの?」

「それも今から作るわよ〜」

木材を置くと

家を建てた時と同様に魔術で完成させていく

「俺のベッドはこれにして。」

「どこから持ってきたんだいそれ◇」

イルミが開いてみせる分厚い本

「図書館からサリーがね」

「王様がつかいそうね〜 じゃあ、こっちがイルミの部屋ね。」

リビングにある2つの扉のうちの1つを見て

木の板を文字通り本当に投げ入れて

「このヒラヒラも?」

「うん。」

布も放り投げる

天蓋を知らないのかな

「はい、完成。」

木のコテージに似つかわしくない

どこぞの貴族のベッドが完成

何故か2つ

「ヒソカさんも一緒でいいわよね。」

まあ寝心地良ければいいからね

「かまわないよ★」

「え、お揃い?」

不満そうだけどたぶん彼女聞いてないよ

「私はこっちの部屋もらうわね〜」

ほらね

ボクとイルミの反対の部屋を使うらしい

ちょっとせまそうだ

「よいしょ」

麻袋から綿を出して床に置いて布団だけ作り出して終わった

「え、なにそれ。」

「ジャポンの寝具よ。布団っていうらしいわ。」

「俺もそれにすればよかった。」

「支払いしなくていいなら作り変えてあげてもいいわよ。」

「無理」

「チッ」

2人のやりとりを聞きながら部屋を見ていて気付いた

2階があるんだけど何の部屋だろう★

あとトイレと風呂は?

「トイレとお風呂はどこかしら・・・」

作った本人がいうんだから探さないといけない

作られてなかったら随分な欠陥住宅じゃないか

「2階があるからそっちかもしれないわね」

二階にあがると

「あら」

「でか!!」

「3人で寝れそうだねぇ★」

「「遠慮する」わ」

一緒に寝ようなんて言ってないんだけど

2人ともボクをなんだと思ってるんだい

「彼用みたいね」

「そうだね。さっそく乗っかってるし。」

燃えるのをやめた彼なのか彼女なのかわからない生き物が

ベッドの上で丸くなって眠り始める

緊張感ってなんだっけ◇

「ここはイフに使ってもらいましょう。」

「イフ?」

「イフリートのイフよ。可愛いでしょ?」

なんともいえないネーミングセンスに黙り込んでると

「お風呂とトイレ作らないとね。トイレはボットントイレでいい?」

「「嫌だ。」」

「作るの楽なのに・・・」

「「嫌だ。」」

「わかったわよ、水洗にするわ。」

我儘ね、と怒りながら階段を降りていく

「なんかミケみたいだ。」

めずらしく動物に興味津々

そういえばさっきも謎生物の辞典みてたね

「撫でれないのが残念だね★」

「うん。」

彼女を踏みつけていたのをどけようと

足を掴もうとしたら

ホログラムのようにすり抜けたんだ

触れるのは彼女だけらしい

「ん?」

「おや」

突然足元が震える

まるで大型の工事をしてるような・・・あ

近くの窓から外を見ると

本日2回目の建造を施すサリーの姿が見えた

お風呂は露天風呂にしたらしい

石風呂の周りを丸太でできた壁が取り囲み

きちんと脱衣所まで

「おお、センスいいんじゃない?」

めずらしくテンションがあがったのか

嬉しそうに窓から外へ飛び出す黒い髪を追う

眼じゃなくて体でね

「俺入っていい?」

「いいわよ〜温泉の効能はなにかわからないけどね。」

「別にいいよ。」

イルミならどんな毒にも耐えられるだろうしね

「ちょっと!ちゃんと脱衣所作ってあげたんだからそっちで脱いでよ!」

「あったんだ。気付かなかった。」

目の前でストリップを開始されたらびっくりするよね★

ボクもあんなにテンションが高いイルミ初めてだからびっくりだよ

「動揺しすぎだろ。」

「うるさいわね!さっさとそっちに行ってちょうだい!」

布で塞がった脱衣所へとイルミを押し込み

サリーは怒ったからか恥ずかしかったからか

上気した顔のまま麻袋から鉄の塊を出す

本当に何でも出てくる袋だねぇ

「手伝おうか?」

「え、あァ、お願いするわ。これを組み立てておいてくれる?」

「うん★」

細い板を何枚か手渡された

設計図と一緒に

これも魔術で作ればいいのに

「よいしょ!!」

あ〜あんな鉄の塊を何本も配管にしないといけないのか

下水を町側から引いてるんだね

水洗がいいって我儘言ったから

このくらい黙って作っておこう◆
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