あめだま。

□隠忍自重
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「おい、お前…誰だよ」

「え、ちょ、酷くね?俺の扱い酷くね?」

「ジョークだ」

「分かりにくいよ!」

俺は今物凄く腹が立っている。
目の前の男は俺の餌食だ。
どいつもこいつもこの世の人間は糞だな。
同じ一種の人間だとは思いたくない位糞だ、
前世が人間じゃない事を願う限りだ。

あー…白い米粒が食いたい。

「真広さーん…」

「んだよ話し掛けんなクソ」

「えー!?真広さん、何時も以上に
どうしたんすか!!!」

「うっせ、黙れ。
日本語学び直せ今すぐにな。」

「えうっ」

長瀬真広、俺の名前だ。
皆俺を真広さんと呼ぶ、
何でさん付けなのか今まで考えた事も無い。
理由を考えるのも面倒だからだ。

ふと背後を見れば海野龍、
俺のダチのうちの一人で一番信頼している。

「何、えうとかキモッ!最早もうオリジナルだな!!
俺の拳をてめぇの口の中に突っ込んでやろうか?口開けやがれ、オラ!!!」

「いやああああああ!」

あぁ、このヘタレなのは野崎。
俺の遊び道具。
本人曰く海は野崎にとって怪物的存在らしい

「海、止めてやれ、俺の飯を虐めてやるな」

「真広さん!!僕は貴方の米粒じゃありません!」

「…え?そうなの?」

「イヤーーーーーーッ!!」

これが俺たちの日常である。
学校にも通わずただ街を歩き、
仲間と戯れる。
…んで虐める…(主に野崎を)
そんな俺等の日常に不愉快な事は一切無く、
寧ろ愉快すぎてテラMAXな日々。
思いもよらない出来事が起こるなんて
誰が思うだろうか。

「おい、海…」

「何、てゆうか海っての止めろよ」

今少しだけど視線を感じた、ような…
気のせいか?

「いや、何でもなっ…――――!?」

「何だよ、真広。
つか今日の真広テンションおかし……え?
…真広!?」

突然真広が消えたのだ。

「おい野崎!真広は何処だ!真広が消えた!」

「えっ真広さんなら彼処に……あれ?」

「何処だよ!?居ないじゃねーかよ!
ちゃんと見とけやクソ野崎!」

「ええええええぇー…」

(そういう海野さんも見てなかっただろ…)

そんな台詞なんて野崎に言える筈もなく、
ただ海野の胸の中で密かに打ち明けた
本音だった。
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