あめだま。

□隠忍自重
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「……」

3人か…
やけに少ないな、
後ろに隠れてんのか?

「おーい、長瀬真広くーん。
…チッ、聞こえてんだろ、返事しろや!」

「…――、」

(あいつか…あの時俺等をつけてた奴は…)

何時もなら気づくのに全く気づかなかった。
何者…、

「おい聞いてんのか!?殺るぞ!オラ!」

「空、やめてやれ、俺の恋人を虐めてやるな」

(何かデジャヴ…)

「チッ…」

何で恋人扱いなのかが意味わかんねぇ。
ケンカを売った覚えないし、
買った覚えもない。
それに日頃の行い…は悪いか。

「率直に言う。
お前が欲しい、お前を俺にくれ。」

「あー…悪いがお前の言っている意味が分からない。お前の日本語通じないし、俺限定で。このまま俺の前から消えてくれないか」

「ほう…?お前言う口だな、声も好みだ。」

言いながらそいつは少しづつ俺に近づき
俺の肩口に顔をうずくめた。

「――…真広、」

「―っ…!!」

おかしい、
俺はこいつらに見覚えはない。
会った記憶もない、名前も知らない。
なのに何で向こうは俺を知ってる?
矛盾が深まるばかりだ…

「あの…俺、あんたらの事知らねーし、これからの事も知りたいと思わないし、寧ろ関わりたくないんで帰りますね。」

「んー…と、桜ノ丘学園2-B、河野アキラ、
アキで良い。A型、男、因みにゲイだ。」

誰もゲイかどうかなんてきいてねーよ。

「誰も自己紹介しろなんて言ってねーだろ、俺は帰るからな。」

「真広、待って…」

先程と打って変わって、
余裕の面してたくせに今は少し焦ってる感じ
強めに握られた俺の腕から熱が伝わって来る

少し震えている、これも演技か。

「離せよ、お前なんか興味ねーよ。
後、名前呼びすんな、バーカ。」

「真広」

「だからっ――…ん、」

今、とんでもない事が起きてしまっている。
この状況をどうにかしないとヤバい、

しつこいな、と思いながら振り向いて
きっぱり断ろうとしたのだが、

失敗に終わった。

「っあ!…止めろ!何してんだよ!」

俺の胸板をやわやわとまさぐり
布越しにソレを刺激する。
瞬間身体中に電流が流れたような
ビリビリとした感覚に襲われる。

「今のもう一回聞きたい…ね、」

「ちょっ…マジでやめ―…っは…あ、」

意味わかんねぇ!
こいつ本気だったのかよ!
てっきり何かのアレかと思ったわ!
…アレって、なんだよ。
じゃなくて!

「そうだ真広、こっちにおいでよ。
桜ノ丘学園にさ…俺の恋人として」

「断る」

即答?酷いな。
なんて言葉が聞こえたが、
履き違えてんじゃねーよ。
当たり前の事を、
当たり前じゃないみたいに言いやがって。

「えー…じゃあ、せめてセフレ」

「それ恋人より酷いからな、」

「友人も連れて来て良いからさ、
御願い…真広」

「っさ、触んな!クソったれ…っ、止めろっ…」

ヤバい…嫌なのに、身体が反応してしまう…
このままだと本当に本気でヤバい、

「分かった!分かったから離せ!
行けば良いんだろ!?友人連れて行くからな!
試験とか落ちたらそん時は諦めろよ!?」

「おーけー」

すこし意味の含んだ笑みを浮かべ
薄く微笑んだそいつに紛れもなく赤面した俺
最悪だ、何でOKしてんだよ…
桜ノ丘って何だよ、てか何処だよ。
2-B?同い年かよ、見た目明らかに年上だろ。

「じゃあそろそろ行くわ、またな。
無理矢理拉致って悪かった、好きだよ真広」

「…っな、」

その台詞を合図に俺の唇に自らのそれを
押し付けた。



「――――――…っ…クソ、」


彼の表情に少し、少しだけときめいてしまった俺は言うまでもない。
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