ようさぎの恋
□#004
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〜その夜〜※ここからはヒロインちゃん視点じゃないです!
「あっ、澪耶さんですね?今晩は」
澪耶が今いるのは「スナックすまいる」
何故かというと、新八の姉・妙に頼まれたから。
働いている女の子たちが何人か一気にやめてしまい人手が足りず
新しく女の子が入るまで手伝ってほしいとのこと。
『今晩は。よろしくお願いします』
「妙っていいます。私の方が年下なので呼び捨てでいいですよ?タメ口で構いませんし」
『ありがとう。あたしも゛さん゛付けしなくて大丈夫だから』
「じゃあ澪ちゃんで」
にこっと笑う妙。
その笑顔の美しさに、澪耶はここで働くだけある人だと実感した。
それと同時に、妙も年上ながら無邪気な澪耶の表情に思わず見惚れる。
新八には「なるべく可愛い子」とだけ頼んだが、予想以上の人材だった。
『あたし、本当に何も知らないんだけど大丈夫かな?』
「大丈夫ですよ。私がずっと側についてますから」
『そっか。それならよかった』
「お妙さーん、澪耶ちゃーん。ご指名入りましたー!!!」
「はーい!澪ちゃん、行きましょ?」
『うん』
妙に腕を引かれ、さっそくテーブルに向かった。
いたのはごつい見た目に反比例して、何やらしょぼくれている男。
おそらく仕事で失敗したか、女に振られたかどっちかであろう。
優しく慰められたくて、ここに来る客も多いのだ。
「今晩は、近藤さん。ご指名ありがとうございます。この子はヘルプの澪ちゃんです」
『澪耶です。よろしくお願いします』
近藤とやらに二人は挨拶を済ませ、席についた。
妙が水割りを作り、その間に澪耶が話相手になる。
「お妙さん、澪耶さん、聞いてくれないか・・・・?」
『はい、なんですか?』
ぽつり、ぽつりと溜め息交じりに愚痴をこぼし出した。
「どうせ俺なんてケツ毛ボーボーだしさぁ・・・・女にモテるわけないんだよ。はーあ、ダメだなあ俺は」
どう言っていいか分からず、澪耶は戸惑ってしまう。
それを察したのか、妙は慌てて
「そんなことないですよ。男らしくて素敵じゃありませんか。ねぇ?澪ちゃん」
と慰めた。
『そうですね。充分魅力的な人ですよ、近藤さんは。自信もってください』
そっと近藤の肩に手を添えて、妙と同じように慰めてみる。
その笑顔に赤面する近藤。
「じゃあ聞くけどさあ・・・・もし二人の彼氏がさぁ、ケツが毛だるまだったらどうするよ?」
『ふふっ、その人を愛してるならそれさえも愛しますよ』
「私も・・・・・ケツ毛ごと愛します」
微笑みながら言う澪耶と、静かに言い放つ妙。
両極端だが、同じことを堂々と言う二人に
近藤は
「けっ、け、結婚してください!」
「『え!?』」
一瞬で恋に落ちた――――――――