短編

□ブラコン姉貴とツンデレ弟B
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「ね、総悟」




「はい」




「もし私がいなければ…ミツバは幸せになれたかな」





突然飛び出した質問に、沖田は茶菓子に伸ばしていた手をピタリと止めた。
俯くなまえの顔を覗き込めば、今にも泣きそうに顔を歪ませている。






「何言ってんですかィ…姉上がなまえさんを本当に大切に思ってたの、俺は知ってまさァ。なまえさんだって分かってるでしょィ…」





沖田の言う通り、知っていた。
ミツバがどれだけ自分のことを大切に思ってくれていたか。
そしてミツバも同じだった。
お互いがお互いの、唯一無二の親友だった。






「でも、時々思うの……私さえいなければ、ミツバは……十四郎と…」



「!!」






ミツバがこの世を去る間際、なまえに遺した言葉。





「私ね、実はずっとなまえちゃんが羨ましかった」


「いつも十四郎さんと一緒にいて…十四郎さんにとって、なまえちゃんは何にも代えられないくらい大事な存在で…」


「私が入る隙間なんて、これっぽっちもなかった」


「でも私…本当になまえちゃんのことが大好きだから…もしなまえちゃんが十四郎さんのことを好きなら、仕方ないって思えるの…」





ミツバが土方を好きなことはとうの昔に分かっていた。




土方もミツバを嫌いではないことを知っていたし、何よりもミツバに幸せになってほしかったから、二人の仲を取り持とうと頑張っていたつもりだった。
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