ようさぎの恋
□#001
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コツコツコツ・・・・・
薄暗い宇宙船内を歩く。
人通りはなくて、あたしの足音だけが響いてる。
「!?おい、お前・・・」
後ろから声をかけられ振り向くと
お目当ての人物一人目を発見した。
『おー!阿伏兎、久しぶり♪やっぱり乗ってたんだ』
駆け寄って抱きつくと、なんでここに?という顔して
あたしを見つめていた。
『この宇宙船、地球行くみたいだからさ。思わず乗り込んじゃったんだ』
「はーあ・・・・・まったく困ったお姫さんだ」
呆れつつも、あたしの頭を撫でてくれる阿伏兎。
「しかし、よく乗り込めたもんだ。見張りの者もいるってのに」
『“澪耶だから通して”って言ったら、あっさり通してくれたよ?』
宇宙に名前が知れ渡っていると、こういう時に便利だよね。
「まあいい。お前が来たと分かったら、あのバカ団長も喜ぶ」
『あははっ、阿伏兎は相変わらず神威に振り回されてる?』
阿伏兎は神威に振り回され続けてる苦労人だもんなー。
ほんと、お疲れさまです汗
「おうよ。澪耶、団長と結婚してやってくんねぇか?お前だったら、団長を止められる」
『神威があたしになびくわけないじゃん。そもそもあたしに神威は扱えないよ』
「わかってねぇなあ。団長はお前のことがすk「俺がなんだって?阿伏兎」・・・・・団長」
あたしの腰に腕を回し、肩に顔を乗せる神威。
阿伏兎はニコニコ笑っている神威とは真逆に、顔を真っ青にしてる。
「阿伏兎、余計なこと言うと・・・・・殺しちゃうぞ」
「す、すまねぇ・・・・・・・」
「今日は澪耶がいるから許してあげる。久しぶりだネ、澪耶」
『うん、久しぶり神威』
神威はあたしの幼なじみ。
生まれた時からずっと一緒だった。
神威が春雨に入っちゃって、あたしが殺し屋になってからは
半年に一度ぐらいしか会えないけどね。
「何?俺に会いに来たの?」
『うーん、まあそんなとこかな』
未だにあたしを抱きしめる神威を引き剥がして、その場に座り込んだ。
二人も同じく腰掛ける。