ようさぎの恋
□#002
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江戸に降り立って、あてもなく歩く。
とりあえず住む家を探すとしよう。
金なら殺し屋の職業で稼いだ金がやまほどある。
『・・・・・・・・・・・』
さっきからすれ違う人がみんな、あたしの顔を見るのが気になる。
こんな晴れた日にマントをしてフードを被るのがおかしいからかな。
でも顔を赤くしてる人もいるのはなんでだろう・・・・←鈍感
「おい、ちょっとそこの姉ちゃん」
豚の見た目をした天人三人組に肩を掴まれた。
じろじろと嫌な目で、あたしの身体を上から下まで見つめる。
『なんでしょう?』
「おいおい、こりゃ上玉じゃねぇか」
「どっかに売り飛ばすのもいいが、先に俺らで頂いちまおうぜ」
「そうだな。・・・・・・姉ちゃん、ちょっとこっちに来な!」
会話が全部丸聞こえ。
あたしを襲った後、どこかへ売り飛ばすつもりだ。
それにしても、あたしのことを知らないやつがいたなんて。
顔を見ただけで怯えるやつもいるくらいなのに。
『ごめんなさい、離してください』
「そいつは無理な頼みだな。さっさとついてこい」
さすがにいらついてきた。
地球に来て一時間も経ってないけど、こいつらを叩きのめしてやろうか。
でも殺さないように力加減するの苦手なんだよなあ・・・・・・・
そんなことを考えていると、天人たちが騒ぎ始めた。
「な、なんだお前は!?」
「こんな道端でぎゃーぎゃーうるせぇんだよ、24時間発情期ですかコノヤロー」
あたしを庇うように立つ銀髪の男。
「くそ、邪魔すんじゃねぇ!」
一人、いや一匹の天人が男に襲いかかるが、10秒もかからず木刀で返り討ちにした。
地面に倒れた一匹は、白目を向いて失神している。
「て、てめぇ・・・・・!」
「この程度の豚に、そりゃ姉ちゃんも落ちねぇわな」
男が挑発するように笑うと、二匹が刀を構えた。
あたしはそれを見て、すぐ近くの壁に拳を入れた。
ちょっと力を込めただけなのに、壁に大きな穴があく。
『二匹で一人襲うとか卑怯な真似やめな。この壁みたいになりたくなきゃ、とっとと消えろ』
そう言うと二匹は、顔面蒼白で消えていった。