ようさぎの恋
□#005
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銀時と近藤が決闘して何週間か経った。
卑怯な手を使った銀時に呆れ、しばらく顔を出していなかった新八に神楽も、ようやく戻ってきた。
平和な万事屋に戻ったと思われたのだが・・・・
『今日はいつもと違って不穏な空気だった。それは「澪耶さんんん!!なんでそんな急なボケするんですか!?」
『あ、ごめん。皆睨み合ってるから、雰囲気を和らげようと思って』
「だからって地の文みたいな語り口にするっていうボケは分かりにくいですから」
「そもそも地の文とか現実的な話やめるアル」
話が少々ずれたが、さっきも言った通り現在の万事屋はあまり穏やかな空気じゃなかった。
皆真剣な顔をして睨み合っている。
その理由は、先ほど訪れた大工から「一人だけ手伝ってほしい」という依頼が入ったため。
゛一人だけ゛というのが重要だった。
要約すると、皆仕事をサボりたいということだ。
「「「じゃーんけーんぽん!!!!」」」
そしてついに、勝負の王道・じゃんけんによって決着をつけることになったらしい。
ちなみに澪耶は参加してない。
大工に手伝うことになった誰かについていくことにしている。
「まったく、あいつらにも澪耶ちゃんを見習ってほしいよ」
『あはは、そんな大層なことしてないですよあたしは』
「新八の負けアル。しっかり働いてくるアルよ」
「二人の反則負けだろ!!」
澪耶と大工が世間話をしている間に、じゃんけんは新八が最終的に負けたらしい。
しかし手伝うことになったのは銀時。
大工曰く「勝った人間が有り難い仕事に従事できる」・・・・・とか。
「「行ってらっしゃ〜い」」
『はぁい、行ってきまーす。頑張ろうね、銀ちゃん』
「・・・・・・おう」
不満そうにする銀時と共に、現場へ向かった。
****
「ほれ、ここだ」
やって来たのは「集英建設」
銀時は未だに文句をこぼしている。
「いや、なんかさ、どうにも釈然としねぇんだけど」
「文句ばっか言うな。とっとと現場へ荷物運ぶぞ。・・・・・ああ、そこにある作業着を着てくれや」
『はーい』
澪耶は青い作業着を着て、その上からマントを羽織る。
かなり不自然だが、こうしないと日に当たってしまうからしょうがない。
そして屋根の修理をするため、屋根に登った。
トントン カンカンッ
釘を打つ軽快な音がする。
「ばっきゃろう!金槌はもっと魂込めて打つんだよ!」
あまりに無気力な銀時に、大工から怒号が飛んだ。
「お前の頭にだったら魂込めて打ち込んでやるよ、ハゲ」
普通の人より少し、というかかなり薄めな大工の頭をからかう。
「んだとこの野郎!!グダグダの銀髪パーマの分際で偉そうなこと言うな!」
『二人共喧嘩しないでください。仲良く楽しくやりましょう。ね?』
お互いの頭について罵り合う二人を澪耶が慌てて止めた。
二人も澪耶が言うなら、と渋々子供のような言い合いをやめ、仕事を再開した。
『(・・・・・・喉渇いたな)』
しばらくして、澪耶はそう思った。
暑い中、太陽の下で屋根の修理をしている。
喉が渇くのも当然。
ちょっと休憩を取るため、大工に許可を取り、飲み物を買うため下に下りた。